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人材紹介事業への参入ガイド2026|市場性・許可・収支・体制の全体像

公開日 更新日 17分
人材紹介事業への参入ガイド2026|市場性・許可・収支・体制の全体像

人材紹介を新規事業として検討している事業会社の経営者・新規事業責任者に向けて、市場性、ビジネスモデル、許可要件、参入ルート、体制、失敗パターンを1本にまとめました。この記事の役割は、自社が参入するかどうかを社内で判断する材料をそろえることです。手続きや業種別の進め方など、判断の後に読む記事は事業会社の参入に関する記事の一覧で検討の段階ごとに案内しています。

この記事の結論

ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増)と伸びており、企業か人材のどちらかと接点を持つ事業会社には参入の余地があります。許可は申請からおおむね2〜3か月で下りますが、立ち上がりを左右するのは参入後の求職者集客です。既存の顧客・人材データは、利用目的・本人の同意・既存の契約を確かめてから使う前提で計画します。

なぜ今、事業会社の人材紹介参入が増えているのか

人材紹介への参入は、個人の独立だけでなく、既存事業を持つ法人の多角化としても検討されています。背景として、次の3つが挙げられます。

背景1:市場の成長が続いている

矢野経済研究所が2025年10月24日に公表した調査によると、2024年度のホワイトカラー職種(事務・営業・管理・IT系など)の人材紹介業の市場規模は4,490億円(前年度比12.0%増)でした。事業者の売上高をもとにした数字です。医療・介護などを含む全職種の市場ではない点に注意してください。人手不足を背景に、企業の採用手段として人材紹介を使う場面は広がっています。

出典:矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)」

一方、厚生労働省が2026年3月に公表した令和6年度の職業紹介事業報告の集計(速報)では、事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561でした。そのうち年度内に就職実績があったのは13,946で、半数に届きません。市場は伸びていても事業所の数は多く、強みを持たないまま参入すると埋もれやすい市場です。

出典:厚生労働省「令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」。市場規模(矢野経済研究所、ホワイトカラー職種のみ)とは集計の範囲が異なります。

背景2:既存事業の強みを生かせる業種が多い

参入を検討する例としては、次のように、すでに企業か人材のどちらかと接点を持つ業種が挙げられます。

  • SES・受託開発企業:技術の理解と、エンジニアとの接点がある
  • 人材派遣会社:取引先企業との関係と、登録スタッフに対応してきた経験がある
  • 求人広告代理店:顧客企業の採用課題を日頃から把握している
  • スクール・教育事業者:卒業生の就職を支援してきた経験がある
  • 社労士・税理士等の士業:顧問先から採用の相談を受けている

既存事業の顧客基盤や業界知見を持ち込めるのは、事業会社ならではの強みです。ただし、既存事業で預かった顧客や人材の情報を、そのまま紹介に使えるわけではありません。取得したときに示した利用目的の範囲に入っているか、本人の同意があるか、取引先との契約に反しないかを先に確かめます。

職業紹介事業者は、求職者の個人情報を収集目的の範囲内で扱う必要があり、求人企業に候補者の情報を渡すことは個人情報保護法上の第三者提供にあたります。業種別の進め方は後半の表で紹介します。

出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」(第9の4、第10)、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」

背景3:労働集約だが在庫を持たないビジネス

人材紹介は仕入れや在庫、大きな設備投資を必要としない事業です。許可の法定費用は、1事業所の場合14万円(登録免許税9万円+収入印紙5万円)です。基準資産額500万円以上などの資産要件(後述)は、支払う費用ではなく、申請する会社が満たしておく財務の条件です。製造業や店舗ビジネスの新規事業と比べると、初期投資は小さく済みます。業界全体の動きは人材紹介業界の動向2026|市場4,490億円・5大トレンド完全解説で取り上げています。

人材紹介のビジネスモデルと収益構造

参入を判断する前提として、お金の流れを押さえておきます。

収益の源泉は「成功報酬型の紹介手数料」

人材紹介(有料職業紹介)の主な収益は、紹介した求職者が入社したときに求人企業から受け取る紹介手数料です。手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく「届出制」か、就職後6か月以内の賃金の11.0%(免税事業者は10.3%)を上限とする「上限制」で決めます。

届出制では理論年収の30〜35%程度に設定する会社が多く、年収400万円の人材なら120万〜140万円の売上になります。この率はL reach編集部が取材で聞く範囲の目安で、統計ではありません。求職者からは、一部の例外を除いて手数料を受け取れません(職業安定法第32条の3)。

収益構造の特徴

項目 内容 事業計画上の含意
売上計上 入社時点の成功報酬 活動開始から入金まで数ヶ月のタイムラグ
原価 ほぼ人件費+集客費 粗利率は高いが労働集約
返金規定 早期退職時の返戻金(各社規定) 売上の一部は引当が必要
変動要因 面談数×成約率×単価 KPI管理がそのままPL管理になる

売上は「面談数×成約率×手数料単価」の掛け算で決まります。月々の面談数を安定して確保できるかどうかが、事業計画の前提になります。

モデルケースで見る売上規模

規模をつかむため、前提を置いた計算例で月の売上を試算します。

前提項目 設定値
月間面談数 20件
面談→成約率 10%(月2件成約)
想定年収 400万円
手数料率 30%(紹介料120万円/件)

L reach編集部の計算例です。面談数・成約率・年収・手数料率を変えると結果は変わります。

この前提では、月の売上は2件×120万円=240万円です。ここから人件費(専任2名相当)・集客費・返戻金の引当を差し引いたものが事業の損益になります。注意したいのは、面談から入社・入金までに時間がかかるため、活動を始めてから数ヶ月は売上ゼロで費用だけが先に出ていく点です。面談数が月10件に減れば、売上も半分になります。人件費・集客費まで含めた月次PLと黒字化までの資金繰りは、人材紹介事業の収支シミュレーション|法人参入のPLと黒字化モデルで複数のシナリオを試算しています。

参入ルートは3つ|新規許可・買収・提携の比較

事業会社が人材紹介に参入するルートは、大きく3つに分かれます。

→ 表は横にスクロールできます

参入ルート 概要 スピード 初期コスト 主なリスク 向いている企業
① 新規で許可取得 自社(または新設法人)で有料職業紹介の許可を申請 申請から許可までおおむね2〜3か月+準備期間 法定費用14万円(1事業所)+体制整備費 立ち上げ後の集客をゼロから構築 自社ブランドで中長期に育てたい企業
② 許可付き法人の株式取得(買収) 許可を持つ法人をM&Aで取得。株式譲渡なら許可はその法人に残る(役員変更などは届出) 交渉次第(数ヶ月〜) 買収対価(案件による) 簿外債務・許可条件・人材流出 スピードを優先したい企業
③ 提携・送客の活用 許可を持つパートナーと連携し、自社は許可が要らない範囲の業務を担う 最短 小 収益の取り分が限られる。業務の線引きを誤ると無許可の紹介になる 許可取得前に需要を確かめたい企業

2026年9月時点の制度にもとづく整理です。期間・費用は目安で、個別の条件によって変わります。

買収では、許可の扱いがスキームによって変わります。事業譲渡では有料職業紹介の許可は引き継がれず、許可を持たない譲受側は新規の許可申請が必要です。株式譲渡で法人ごと取得する場合は、許可はその法人に残ります。ただし、役員や職業紹介責任者が変われば届出が要ります。スキームを誤ると「買ったのに許可がない」事態になるため、買収を検討するときは最初に確認してください。

出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」(第7「法人の合併等の手続」。営業譲渡・譲受は吸収合併に準じた取扱い)

買収と新規取得の判断基準は、人材紹介への参入は買収か新規か|許可承継の可否と判断基準で比較しています。多くの事業会社にとって現実的なのは、①の新規許可を本命にしつつ、審査の期間に③の提携で求人や求職者の反応を確かめる組み合わせです。提携で動く場合も、許可を持たない自社が求職者と求人企業の間であっせんに踏み込まないよう、役割を契約で分けておきます。

許可要件ダイジェスト|資産500万円・事務所・責任者

新規で許可を取る場合の要件を、意思決定に必要な粒度でまとめます。

要件 内容
基準資産 基準資産額(資産−負債。繰延資産と営業権は資産に含めない)が500万円×事業所数以上
現金・預金 自己名義の現金・預金が150万円+60万円×(事業所数−1)以上
事務所 面積の基準(旧20㎡)は必須ではなくなり、個室やパーティションなどで求職者のプライバシーを守れる構造かどうかで判断
職業紹介責任者 事業所ごとに選任。成年に達した後3年以上の職業経験があり、申請の受理日前5年以内に職業紹介責任者講習を修了した人(受講料は実施機関で異なる)
法定費用 14万円(登録免許税9万円+収入印紙5万円、1事業所の場合。2事業所目からは収入印紙が1事業所ごとに1.8万円加算)
許可有効期間 新規3年・更新後5年

出典:厚生労働省「職業紹介事業パンフレット 申請、届出の手続き等」(2025年4月1日改訂)。2026年9月24日に確認しました。

事業会社が特につまずきやすいポイント

資産要件は、申請する法人全体の直近の決算(貸借対照表)で判定されます。既存事業の負債が大きい場合は、増資や子会社の新設も含めて早めに確認してください。公認会計士等の監査証明を受けた中間決算・月次決算で確認してもらえる場合もあります。また、職業紹介責任者講習は2026年4月から、責任者の責務として従事者教育の充実を扱う内容に変わっています。

法人としての免許取得の手続きと、稟議に使える費用の整理は有料職業紹介の免許取得|法人の費用・期間・要件【稟議用】で、資産要件・事務所要件の細部は有料職業紹介事業の許可要件|資産500万・事務所要件・初期投資の全解説で取り上げています。

参入スケジュールの全体像|申請3〜4ヶ月+立ち上げ90日

準備から事業の立ち上げまでの流れは次のとおりです。

1

準備期(1〜2ヶ月):要件充足と書類準備

基準資産の確認、事務所の確保、職業紹介責任者の選任・講習受講、申請書類の作成を進めます。並行して事業計画(ターゲット業界・KPI・集客設計)を固めます。

2

審査期(おおむね2〜3か月):申請〜許可

管轄の都道府県労働局に申請してから許可が出るまでは、厚生労働省の案内でおおむね2〜3か月です。書類の不備や申請の時期によっては延びることがあります。この期間は、求人企業との関係づくり、集客チャネルの比較、業務手順の整備に充てます。ただし、許可が下りるまでは、求人・求職の申込みの受付や、紹介を行う旨の宣伝・広告、求職者と求人企業の間に立つあっせんはできません。

3

立ち上げ期(許可後90日):初成約までの逆算

許可が出た後の最初の関門は「初月に面談を何件持てるか」です。面談→推薦→内定→入社にかかる期間を考えると、初月の面談数が3〜4ヶ月後の初売上を左右します。

講習の受講や書類の準備を含めると、許可までに3〜4か月は見込んでおきます。準備に手間取れば、それ以上かかります。準備の開始から初売上までは、合計で8〜12ヶ月程度が目安です。事業計画では「許可の取得=売上の開始」とは置かず、初売上の3〜4ヶ月前と位置づけます。審査の期間に、求人企業との関係づくりと集客の準備をどこまで進められるかで、立ち上がりの速さが変わります。月単位のタスクまで落とした逆算表は人材紹介の参入スケジュール|申請3〜4ヶ月+立ち上げ90日の逆算表にまとめています。

申請から許可までの期間の出典:厚生労働省「職業紹介事業パンフレット 申請、届出の手続き等」(申請は事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前まで)。8〜12ヶ月はL reach編集部の目安です。

体制設計|最小何人で始められるか

新規事業としての人材紹介は、大人数をそろえる必要はありません。最小限の構成は次のとおりです。

  • 職業紹介責任者(要件を満たせば他業務との兼務が可能なケースあり)
  • キャリアアドバイザー(CA):求職者面談・推薦を担当
  • リクルーティングアドバイザー(RA):求人開拓・企業対応を担当(立ち上げ期はCA兼務の「両面型」が多い)

事業会社の場合、既存事業の営業がRAを兼ね、管理部門が責任者を兼ねるなどして、専任1〜2名に兼務者を加えて始める会社が、L reach編集部が相談を受ける範囲では多く見られます。ただし、責任者の兼務には条件があります。職業紹介責任者となる人の名義だけを借りて許可を得ることは、許可基準で認められていません。

体制設計で事前に決めておきたい論点は次の3つです。

  • 専任を何名置くか:兼務中心の体制は初期コストを抑えられる反面、既存事業が忙しくなると活動量が落ちやすくなります
  • 両面型か分業型か:立ち上げ期は1人が企業と求職者の両方を担当する両面型が動きやすく、件数が増えた段階でCAとRAの分業に移る会社が多くあります
  • 評価・KPIの設計:成功報酬型のため初年度は売上で評価しにくく、面談数・推薦数などの先行指標で管理します

兼務の可否・最小人員の考え方は人材紹介事業の体制設計|責任者の兼務可否・最小人員Q&AでQ&A形式にまとめています。

参入前に押さえる規制|2025年職安法改正と禁止事項

人材紹介は許可制の事業で、法令違反は改善命令や事業停止、許可の取消しの対象になり得ます。特に次の3点は、事業計画の段階で押さえておきます。

  • お祝い金等による求職申込みの勧奨の禁止:職業紹介事業者は、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭等を提供して、求職の申込みを勧奨してはいけません。2021年4月に指針で禁止され、2025年1月からは許可条件にも加わりました。求人メディアなどの募集情報等提供事業者も、2025年4月から金銭等の提供が原則禁止です
  • 転職勧奨の禁止:自社の紹介で、期間の定めのない雇用(無期雇用)で就職した人には、就職した日から2年間、転職を勧奨してはいけません(2025年1月から許可条件)
  • 個人情報の取扱い:収集する目的を具体的に示してその範囲で扱うこと、求人企業に情報を渡す前に本人の同意を得ることなどが求められます。個人情報適正管理規程の整備も許可の要件です

出典:厚生労働省(2021年4月の指針改正/2025年1月からの許可条件/2025年4月からの新ルール)

求職者に面談の報酬を払うモデルを、2025年3月末で終えた事業者もあります。金銭を渡して求職者を集める設計は、事業計画に入れないのが前提です。参入前に知っておきたい禁止事項の全体像は人材紹介参入前に知る禁止事項|お祝い金・転職勧奨・個人情報で整理しています。

許可取得後の運営義務も忘れずに

参入後には継続的な義務もあります。代表的なものは次の2つです。

  • 事業報告書の提出:毎年4月30日が期限。紹介実績等を管轄労働局へ報告します
  • 許可の更新:許可の有効期間は新規3年・更新後5年です。更新の申請は有効期間が満了する日の3か月前までに行い、更新時の基準資産額は350万円×事業所数です

新規事業として片手間で始めた結果、報告書の提出漏れや、更新時の資産要件割れが起きるケースがあります。管理部門を含めた年間スケジュールに組み込んでおきます。

また、「自社サービスのおまけとして無料で人材を紹介する」場合でも、職業紹介にあたれば原則として許可(学校等は届出)が必要です。無料と有料の線引きは無料職業紹介と有料職業紹介の違い|自社サービス組込時の許可判断で確認できます。

失敗パターンと最大の壁=求職者集客

市場が伸びる一方で、東京商工リサーチによると、職業紹介業の倒産は2024年度(4月〜2月)に21件と過去最多でした(負債1,000万円以上)。同社は背景に人手不足と過当競争を挙げ、中小では広告宣伝費が資金繰りを圧迫する例も増えているとしています。市場の拡大と倒産の増加が同時に起きているのは、参入しても求職者を集めきれない会社から苦しくなる構造があるためと考えられます。

出典:東京商工リサーチ「『人材関連サービス業』の倒産、過去10年で最多」(2025年3月11日公表)

典型的な失敗パターン

  • 求人は集まるが求職者が集まらない:事業会社は企業との接点が強い分、求職者側のチャネルの弱さが表に出やすい
  • 集客コストの高騰でCPAが逆ザヤ化:スカウト媒体・広告への依存で1面談あたりコストが膨らむ
  • 初売上までの資金計画が甘い:成功報酬型のため、売上ゼロの期間の運転資金を見誤る
  • 兼務体制で活動量が確保できない:既存事業の繁忙期に新規事業が止まる

失敗要因と対策の全体像は人材紹介参入の失敗パターン7選|倒産最多時代に新規事業を守る、個人開業を含む失敗事例は人材紹介の独立失敗パターン10選と回避策|1年目の壁2026で取り上げています。

求職者集客の設計が参入可否を決める

求人開拓は既存の顧客基盤で進められる企業が多い一方、求職者の集客はSEO・広告・スカウトのどれも、立ち上がりに時間と費用がかかります。集客チャネルの選択肢と予算感は人材紹介の集客方法まとめ【2026】7チャネル比較と予算別の最適解で整理しています。立ち上げ期の手段の一つが、送客サービスの併用です。

たとえばL reachは、初期費用・月額費用0円で、面談が実施(着座)されたときだけ1件1.5万〜3.5万円(税別、職種・エリアで変動)がかかる着座課金型の送客サービスです。全件にオペレーターが15分のプレ面談を行い、日程調整まで対応したうえで求職者を紹介します(登録者の平均年齢24.7歳、20代比率95.7%)。面談1件あたりの単価が決まっているため、自社チャネルが育つまでの集客費を資金計画に組み込みやすくなります。

参入計画に入れるべき「初月からの面談数」

面談から入社までの期間を考えると、初月の面談数が3〜4ヶ月後の初売上を左右します。自社の集客だけで初月から面談を確保するのは難しいため、立ち上げ期は送客サービスなど外部のチャネルも計画に入れておくと、初月の面談数を読みやすくなります。

業種別の勝ち筋ダイジェスト|自社はどのパターンか

事業会社の参入は、既存事業の何を生かすかで進め方が変わります。自社に近い業種の記事から読み進めてください。

→ 表は横にスクロールできます

業種 生かせる強み 進め方の方向性 詳細記事
SES・受託開発 エンジニアとの接点・技術理解 本人が転職を希望した技術者の支援を紹介につなげる(人材情報の利用は同意・契約の確認が前提) SES企業の人材紹介参入
人材派遣 取引先との関係・登録スタッフへの対応経験 派遣と紹介を使い分けて提案する(派遣の登録だけをしている人は紹介の対象外) 派遣会社の人材紹介兼業
スクール・教育 卒業生・受講生の就職ニーズ 卒業生の就職支援を紹介事業にする(学校等の特例の対象かを確認) スクールの人材紹介参入
士業(社労士・税理士) 顧問先の採用ニーズと信頼関係 顧問業務と紹介を分けて設計する(事業主体・許可要否・守秘義務の確認が前提) 社労士・税理士の人材紹介事業
求人広告代理店 顧客の採用課題の把握 広告で埋まらない求人を紹介で支援する(紹介契約は広告とは別に結ぶ) 求人広告代理店の人材紹介参入

大きく分けると、SES・スクールは人材側との接点が強みのパターン、派遣・求人広告代理店・士業は求人企業側との接点が強みのパターンです。前者は求人開拓を、後者は求職者集客を新たに組み立てる必要があり、弱い側をどう補うかが事業計画の焦点になります。

スクールと士業には固有の論点もあります。スクールは、卒業生を無料で就職先に紹介する場合でも職業紹介にあたり、学校教育法上の学校や専修学校なら届出、それ以外の民間スクールなら許可が必要です。士業は、顧問先に人材を紹介して謝礼を受けると有料職業紹介にあたる可能性があり、どの事業主体で行うかも論点になります。無料と有料の線引きは無料職業紹介と有料職業紹介の違いで解説しています。

どの業種でも、求人側と求職者側のどちらかは新しくつくる必要があります。多くの場合、立ち上げに時間がかかるのは求職者側のチャネルです。

参入判断のチェックリスト|稟議前に確認する7項目

社内で参入を提案する前に、次の7項目を確認してください。

  1. 基準資産額500万円以上と現金・預金150万円以上(1事業所の場合)を、直近の決算で満たしているか
  2. 職業紹介責任者を誰が担うか(兼務の場合は実態が伴うか)
  3. 参入ルートは新規許可・買収・提携のどれか、比較検討したか
  4. ターゲットの業界・職種と、既存事業の強みの生かし方が明確か。既存の顧客・人材データを使う場合、利用目的・本人の同意・契約上の制限を確認したか
  5. 初売上まで8〜12ヶ月の運転資金を確保できるか
  6. 初月からの求職者集客チャネル(自社+外部)を設計したか
  7. お祝い金・転職勧奨の禁止(2025年1月から許可条件)と、個人情報の扱いへの対応方針があるか

5・6番の資金と集客の計画があいまいなまま参入すると、前述の失敗パターンに陥りやすくなります。1〜4番は要件と手続きの問題で、準備すれば見通しを立てやすい項目です。稟議で問うべきは、許可が取れるかよりも、取った後に事業として回るかどうかです。初期費用の相場感は人材紹介の起業費用は600万〜|内訳・資金調達・5つの削減策にまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q
人材紹介事業への参入は今からでも遅くないですか?
A
ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増)と伸びており、市場の余地はあります。ただし、事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561あり、強みのない後発の参入は苦戦しやすくなります。既存事業の顧客基盤・人材との接点・業界知見を生かせるかが判断の軸です。
Q
許可取得までどのくらいかかりますか?
A
厚生労働省の案内では、申請から許可まではおおむね2〜3か月です。書類の不備や申請の時期によっては延びることがあります。講習の受講や書類の準備を含めると3〜4か月、検討の開始から事業の開始までは半年前後を見込んでください。詳細は参入スケジュールの逆算表にまとめています。
Q
最低いくら必要ですか?
A
許可の法定費用は14万円(登録免許税9万円+収入印紙5万円、1事業所の場合)です。これとは別に、基準資産額500万円以上と現金・預金150万円以上(1事業所の場合)という財務の条件があります。資産要件は支払う費用ではありませんが、実務では初売上までの人件費・集客費を含む運転資金の確保がいちばんの課題になります。
Q
既存の法人で許可を取るべきですか?子会社を作るべきですか?
A
一概には言えません。既存の法人なら基準資産を満たしやすい一方、決算の内容によっては満たせないこともあります。子会社を新設する場合は、出資額の設計で資産要件を満たせますが、設立や登記の手間が増えます。親会社が持つ顧客・人材の個人データを子会社に渡すことは原則として第三者提供にあたるため、データの扱いも含めて、直近決算の資産状況を確認したうえで判断してください。
Q
何人いれば始められますか?
A
職業紹介責任者を含め、専任1〜2名に兼務者を加えて始める事業会社が多いです。ただし責任者の兼務には条件があります。体制設計のQ&Aで詳しく解説しています。
Q
買収での参入と新規許可、どちらが早いですか?
A
単純なスピードでは買収が早い場合もありますが、事業譲渡では許可が引き継がれない点に注意が必要です(株式譲渡なら法人の許可は残ります)。デューデリジェンスや交渉の期間を含めると、必ずしも買収が早いとは限りません。比べ方は買収か新規かの判断基準で整理しています。
Q
参入後、最初につまずくのはどこですか?
A
求職者の集客です。東京商工リサーチによると、職業紹介業の倒産は2024年度(4月〜2月)に21件と過去最多で、同社は人手不足と過当競争、広告宣伝費の負担を背景に挙げています。立ち上げ期は送客サービスなど外部のチャネルも使って面談数を確保し、並行して自社のチャネルを育てる進め方が現実的です。
開業・立ち上げフェーズの会社様へ

参入初月から面談を確保する集客設計、できていますか?

L reachは初期費用・月額費用0円の着座課金型です。開業直後の面談獲得を、面談が実施された分の費用だけで支援します。

相談前に整理できること

  • 初月の面談獲得ルート設計
  • 固定費を抑えた導入
  • 開業後の集客不足を補完

まとめ|人材紹介への新規参入は「集客設計」までが参入判断

人材紹介事業への参入判断のポイントを整理します。

  • 市場性:ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度4,490億円・前年度比12.0%増。一方で有料職業紹介事業所は30,561(事業報告の提出ベース)
  • 参入ルート:新規許可(申請から許可までおおむね2〜3か月、準備を含めて3〜4か月)・株式取得・提携の3つ。事業譲渡では許可は引き継がれない
  • 許可要件:基準資産額500万円以上・現金預金150万円以上(1事業所)、事務所、職業紹介責任者。法定費用は14万円(1事業所)
  • 既存データ:顧客・人材データを紹介に使うのは、利用目的・本人の同意・既存の契約を確認してから
  • 体制:専任1〜2名+兼務で開始可能。責任者の兼務条件に注意
  • 最大のリスク:求職者集客。集客の計画がないまま参入すると、初売上までの資金が持たない

許可が取れるかどうかだけでなく、初月から面談数を確保できるかまで含めて判断してください。この記事で参入の方向が固まったら、次は手続き、業種別の進め方、収支、規制の各論です。検討の段階ごとに読む記事は事業会社の参入に関する記事の一覧にまとめています。

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人材紹介事業ナレッジ編集チーム

foresma株式会社が運営する求職者送客サービス『L reach』編集部。人材紹介会社の支援実績をもとに、集客・CV・運用ノウハウを発信しています。

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