事業参入

SES企業の人材紹介参入|エンジニア資産を収益化する手順

公開日 更新日 14分
SES企業の人材紹介参入|エンジニア資産を収益化する手順

SES企業が人材紹介を新規事業として検討する例が出てきています。技術の理解や、SIer・事業会社との取引基盤は、紹介事業でも生かせる強みです。一方で、SESの業務で集めたエンジニアの情報を、そのまま紹介に使えるわけではありません。SES企業が参入するときの進め方、許可要件、収益モデル、転籍のルールを、法人の新規事業の視点で整理します。

この記事の結論

SES企業は、エンジニアの情報、技術がわかる営業・CA候補、取引先の顧客基盤を持っており、人材紹介の準備を進めやすい立場にあります。ただし、保有するスキルシートや人材情報は、取得した目的・本人の同意・既存の契約を確かめ、本人が自分から転職を希望していることを確認してからでないと紹介に使えません。収益構造も月次のSESと一括手数料の紹介では大きく違うため、自社エンジニアの転籍ルールと、20代未経験IT層の集客設計が成否を分けます。

なぜSES企業の人材紹介参入が増えているのか

SES事業は、月額単価×稼働月数の継続収益で安定性が高い一方、粗利は要員の単価と支払う単価の差で決まり、単価交渉の余地が限られる場面も多くあります。エンジニアの採用が難しくなるなか、採用したエンジニアを自社で抱えて月々稼ぐだけでなく、マッチングの価値を一括の手数料で収益にする人材紹介に関心を持つ会社が出てくるのは自然な流れです。

矢野経済研究所の調査によると、ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増)でした。同社は、ITエンジニアなどの専門職やミドルシニア層の紹介が伸びを支えたと分析しています。市場が伸びている分野では、大手と正面から競わずに領域を絞った参入を検討しやすくなります。

出典:矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)」(2025年10月24日公表。医療・介護などを含む全職種の市場ではありません)

SES企業側の参入動機は、次の3つに整理できます。

  • 収益構造の分散:SESの月次売上に、紹介の一括手数料を加えてPLに厚みを持たせる(手数料率は理論年収の30〜35%程度に設定する会社が多い。L reach編集部が取材で聞く範囲の目安)
  • 既存業務の経験を生かす:面談、スキルの評価、案件とのすり合わせといった日常業務の経験が、紹介の業務に近い
  • 採用市場との接点:SESの採用で出会ったものの自社では採用に至らなかったエンジニアに、本人が望めば紹介という別の選択肢を案内できる(採用選考で預かった情報を紹介に使うには、本人の同意が必要)

法人として参入するかどうかの判断材料(市場環境・許可・体制・PL設計)は、人材紹介事業への参入ガイド2026にまとめています。ここからは、SES企業に固有の論点に絞ります。

SES企業が保有する3つの参入アセット

アセット1:エンジニアデータベース

SES企業には、過去の採用応募者、面談したものの稼働に至らなかった候補者、退職者、パートナー企業から受け取った要員の情報など、技術スキルがわかる人材データがたまっています。ただし、こうしたデータはSESの採用や要員の手配のために預かったものです。スキル一覧を持っていることと、その人を紹介できることは別の話です。紹介に使う前に、少なくとも次の4点を確認します。

確認すること 具体的な内容
取得した目的 採用選考・要員手配など、どの目的で預かった情報か。職業紹介に使うことを本人に示しているか
本人の同意 紹介に使うこと、求人企業に情報を渡すことについて、本人の明確な同意があるか
既存の契約 パートナー企業との秘密保持や引き抜き禁止の取り決め、雇用契約・業務委託契約に反しないか
本人の転職意思 本人が自分から転職を希望し、紹介事業に求職を申し込んでいるか

個人情報保護法では、特定した利用目的の範囲を超えて個人情報を扱うには、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(第18条)。求人企業に候補者の情報を渡すことは第三者提供(第27条)にあたります。出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」(第9の4、第10)

氏名を消したスキルシートでも、ほかの情報と照らし合わせて本人がわかる場合は個人情報にあたります。パートナー企業から受け取った要員情報は、その会社との契約で決めた目的以外には使えないと考え、まず契約を確認してください。具体的な契約の扱いは、法務や弁護士に確認します。

アセット2:技術理解のあるCA・RA候補人材

エンジニアのスキルを読み解き、案件の要件とすり合わせてきたSES営業は、IT人材紹介のCA(キャリアアドバイザー)・RA(リクルーティングアドバイザー)として早く戦力になり得ます。IT領域の紹介では、担当者が技術をわかっているかどうかが、求職者と求人企業の双方からの信頼を左右します。外部から採用しようとしても見つけにくい人材で、差別化の材料になります。

アセット3:求人開拓済みの顧客基盤

SESの取引先であるSIerや事業会社には、正社員のエンジニアを採用したい会社も少なくありません。要員不足をSESで補っている企業は、正社員の採用にも悩んでいることが多く、既存の取引先から求人を預かれる可能性があります。紹介の契約(求人の受理・手数料・返戻金)は、SES契約とは別に結びます。求人開拓の営業負担を抑えやすい点では、既存顧客の求人を持つ求人広告代理店の参入と似た強みです。

SES契約と人材紹介の収益構造比較

参入を判断するうえで最初に押さえたいのが、SESと紹介の収益構造の違いです。

比較軸 SES契約 人材紹介
収益の型 月額単価×稼働月数(継続) 紹介手数料(一括。届け出た手数料表に基づく)
入金タイミング 毎月(安定) 入社月前後に一括(変動)
雇用関係 自社(または所属元)が雇用主 雇用関係なし(マッチングのみ)
原価構造 エンジニア給与・待機コスト 集客費・CA人件費
返金リスク 原則なし 早期退職時の返金規定あり
売上の積み上がり方 稼働人数に比例して逓増 決定数に比例(毎月ゼロから)
労務管理 必要(雇用主責任) 候補者の労務管理は不要(求職者情報の管理・苦情処理などの義務はある)

2026年9月時点の制度にもとづく整理です。

SESは「雇用のリスクを抱える代わりに毎月入金される」、紹介は「雇用のリスクがない代わりに毎月成果をつくり直す」モデルです。両方を持つと、SESの安定収益で紹介事業の立ち上げ期の赤字を吸収でき、紹介の高い粗利がSESの利益率を補います。この補い合う関係が、SES企業が兼業を考える大きな理由です。ただし、SESで稼働しているエンジニアを紹介に回せば、その分のSES売上は減ります。同じ人材からSESと紹介の両方の収益を当然に得られる前提では計画しないようにします。

兼業PLの考え方

紹介事業は、申請から初回の入金まで半年以上かかるのが普通です。申請から許可までのおおむね2〜3か月に、求人・求職者の確保から入社までの期間が加わるためです。SESの月次の資金繰りでこの期間を支えられるかを、稟議の段階で確認しておくと立ち上げが安定します。

参入の勝ち筋|既存アセットを紹介事業に転換する手順

SES企業の参入は、ゼロから作るというより、すでにある経験と取引関係を紹介の形に組み直す作業に近くなります。標準的な手順を示します。

1

許可取得と体制の準備(0〜4ヶ月目)

有料職業紹介の許可申請と並行して、SES営業から紹介の専任(または兼任)の担当者を決め、職業紹介責任者講習を受講させます。SES事業と紹介事業の顧客・候補者情報の取り扱いルールもこの段階で決めます。既存の人材情報を紹介に使うかどうか、使うならどう同意を得るか、パートナー企業との契約に反しないかの確認も、ここで済ませます。

2

既存顧客への求人開拓(許可取得後1〜2ヶ月)

SESの取引先に正社員採用のニーズを聞き、求人票にまとめます。すでに信頼関係がある分、手数料率や返金規定の交渉も進めやすくなります。紹介の契約書(手数料・返戻金・選考の窓口)は、SES契約とは別に用意します。

3

候補者集客の立ち上げ(許可取得後1〜3ヶ月)

既存の応募者や退職者などに紹介サービスを案内する場合は、連絡すること自体が当初の利用目的に含まれるかを確かめます。本人が希望したら、紹介事業として改めて求職の申込みと同意を受けます。並行して、新規求職者の集客チャネル(広告・送客サービス・リファラル)を動かします。ここはSES企業にとって経験の少ない領域で、後述の集客設計が立ち上がりを左右します。

4

マッチング・決定・オペレーション定着(3ヶ月目以降)

面談→推薦→内定→入社のフローを回し、決定単価・成約率を計測。SES提案と紹介提案を顧客ごとに使い分ける営業ルールを固めます。

許可要件と手続き|SES企業固有のチェックポイント

人材紹介(有料職業紹介事業)は、厚生労働大臣の許可制です。基本の要件は業種を問わず共通ですが、SES企業ならではの確認点があります。

要件 内容 SES企業の確認ポイント
基準資産 基準資産額500万円×事業所数以上、現金・預金150万円+60万円×(事業所数−1)以上 直近決算で判定(繰延資産・営業権は資産に含めない)。採用の先行投資で純資産が薄い場合は増資などを検討
法定費用 14万円(登録免許税9万円+収入印紙5万円、1事業所の場合) 申請書類の作成を社労士等に依頼する場合は別途報酬
職業紹介責任者 成年後3年以上の職業経験と講習の修了(受講料は実施機関で異なる) SES営業の責任者との兼任可否を含めて体制を設計。2026年4月から講習に従事者教育の充実が加わった
事務所 プライバシーを確保できる構造(旧20㎡の面積基準は必須ではない) エンジニアの執務スペースと面談スペースの区分を確認
審査期間 申請から許可までおおむね2〜3か月(準備を含めて3〜4か月) 事業計画上、売上計上は早くても半年後と見込む
許可有効期間 新規3年・更新後5年 毎年4月30日期限の事業報告書提出も忘れずに

出典:厚生労働省「職業紹介事業パンフレット 申請、届出の手続き等」(2025年4月1日改訂)。2026年9月24日に確認しました。

もう一点、SES企業が意識したいのは事業の切り分けです。SES(準委任契約による技術支援)と職業紹介(求人・求職のあっせん)は、法的な性質がまったく違います。SESの商流の中で、実質的に「正社員化のあっせん」に近い動きを許可なく行うと、職業安定法上の問題になり得ます。許可の取得を先に済ませ、契約の形ごとに提供するサービスをはっきり分けておきます。SES契約の相手と、紹介で求人を預かる相手が同じ会社でも、契約と請求は別にします。

参入形態の選択肢|自社申請か、許可保有法人のM&Aか

SES企業が紹介事業を持つルートは、自社での許可申請だけではありません。3つの選択肢を比較します。

  • 自社で新規申請:法定費用14万円(1事業所)と、申請から許可までおおむね2〜3か月の期間で始められ、費用はもっとも抑えられます。SESの既存法人で許可を取るのが基本の選択肢です
  • 許可保有法人の株式譲渡(M&A):法人ごと取得すれば許可はその法人に残るため、新規の審査を待たずに始められます(役員の変更などは届出が必要)。小規模な紹介会社を買収してSESの顧客基盤とつなぐ、「時間を買う」選択肢です。買収先が持つ求職者の情報は、買収後も買収先の会社で、取得時の利用目的の範囲で扱います
  • 事業譲渡では許可は引き継がれない:紹介事業だけを事業譲渡で買い取っても、許可は引き継がれず、譲受側で新規の申請が必要です。スキームを考える最初の段階で確認します

急いで立ち上げたい上場グループや、すでに買収候補がある場合を除けば、まずは自社申請を基本線に置き、審査の期間に取引先へのヒアリングと集客の準備を進めるのが費用対効果の高い進め方です。

自社エンジニアの転籍リスクと社内ルール設計

SES企業の参入でよく議論になるのが、「紹介事業を始めたら、自社のエンジニアが顧客に転籍してしまわないか」という懸念です。紹介部門が自社のエンジニアを求人企業に紹介すれば、SES売上の源泉を自ら削ることにもなります。

対策は、感情論ではなくルールで線を引くことです。

  • 紹介の対象の定義:紹介部門が扱うのは、紹介事業に自分から求職を申し込んだ人だと明文化する。自社の選考で不採用・辞退となった人も、紹介の案内に本人が応じて申し込んだ場合に限る。在籍エンジニアに、会社の側から転職を持ちかけない
  • 在籍者から希望があった場合の手順:在籍エンジニアから紹介の希望が出たときの扱い(担当者の分離、SES顧客への情報の遮断、本人の意思の確認)を事前に決めておく
  • 情報の遮断:在籍エンジニアの評価情報・単価情報を紹介部門と共有しない。データベースのアクセス権限を部門で分ける
  • 顧客との取り決め:顧客から在籍エンジニアの直接雇用を打診された場合の協議の手順を、SES契約で事前に決めておく。対価を受け取る取り決めにするなら、それが職業紹介の手数料にあたるかどうかを含め、法務・管轄の労働局に確認する。本人の職業選択の自由を不当に制限する条項にはしない
  • エンジニアへの説明:紹介事業を始めることをオープンに説明し、「在籍者を売る事業ではない」ことをはっきりさせる。隠すと、かえって退職の動機になり得ます

転籍を一律に「損失」と捉えない考え方もあります。本人が正社員としての転籍を望んでいるなら、ルールに沿って円満に送り出すほうが、突然の退職より事業への影響は小さく済みます。紹介として扱う場合は、本人から紹介事業への求職の申込みを受け、届け出た手数料表に基づいて求人企業と契約します。どちらを選ぶかは経営判断ですが、ルールがない状態がいちばん危ういという点は共通しています。

収益モデル例|SES 20名体制の企業が紹介を兼業した場合

前提を置いた計算例で、兼業1年目の紹介事業のPLを試算します。

前提条件 設定値
体制 SES営業から兼任2名(紹介業務に工数50%)
想定年収 450万円(若手〜中堅エンジニア)
手数料率 32%(1決定あたり144万円)
決定数 立ち上げ半年は月0〜1件、後半は月2件(年間14件)
集客費 月40万円(広告+送客サービス併用)
その他経費 許可関連費用・システム・講習等 年間100万円

L reach編集部の計算例です。実績や統計ではありません。

  • 年間売上:144万円×14件=2,016万円
  • 年間集客費:40万円×12ヶ月=480万円
  • 人件費按分(2名×50%):600万円と仮定
  • 年間利益:2,016万−480万−600万−100万=約836万円

前提を変えると結果は変わります。特に決定数は集客量と成約率に直結するため、この計算の前提になるのは「月に何件の面談をつくれるか」です。想定年収を600万円以上のミドル層に置けば1件あたりの手数料は増えますが、その層は競争も激しくなります。業界別の収益レンジは独立後の業界別年収レンジが参考になります。

また、紹介の売上には早期退職時の返金リスクが伴います。返金の引当を売上の一定割合で計上しておくと、SES側の月次管理会計と混ぜたときにPLがぶれません。入金も「入社月の翌月末」などで広告費の支払いより後になるため、立ち上げ期は運転資金の時間差を意識してください。

つまずきポイントと対策|IT人材紹介は競争激化している

SES企業の参入には追い風が多い一方、つまずきやすいポイントもあります。

つまずき1:競争の激しいIT紹介で埋もれる

事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561あり(厚生労働省、令和6年度速報)、IT領域にも専門のエージェントが数多くあります。東京商工リサーチによると、職業紹介業の倒産は2024年度(4月〜2月)に21件と過去最多で、同社は人手不足と過当競争、広告宣伝費の負担を背景に挙げています。技術がわかるだけでは差がつきにくいため、対象の領域を絞ります。SES企業が取りやすい立ち位置の例を挙げます。

  • SIer常駐経験者の「事業会社の社内SE・自社開発」への転職支援
  • 自社が得意とする技術スタック(インフラ、特定言語・フレームワーク等)に限定した専門特化
  • 客先常駐からの脱出という、SES企業だからこそ実情を語れるテーマ特化

いずれも、SESの現場を知っていることが求職者への説得力になる領域で、総合型のIT紹介と正面から競わずに済みます。

出典:厚生労働省「令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」、東京商工リサーチ「『人材関連サービス業』の倒産、過去10年で最多」(2025年3月11日公表、負債1,000万円以上)

つまずき2:既存の人材情報への依存

既存の応募者や退職者のうち、紹介の利用に同意し、実際に転職を希望する人は一部です。一度案内を終えると、次の候補者はすぐには増えません。既存の人材情報に頼った計画は早い段階で行き詰まりやすいため、新規の集客チャネルを初月から並行して動かします。

つまずき3:SES営業と紹介営業の混線

同じ顧客にSESと紹介を両方提案すると、「この人材はSESか紹介か」で顧客が混乱し、安いほうに流れる交渉をされがちです。顧客ごと・案件ごとにどちらを提案するかの社内基準(例:3ヶ月以内の即戦力ニーズはSES、恒久的なポジションは紹介)を先に決めておきます。

つまずき4:お祝い金・転職勧奨のルールへの未対応

職業紹介事業者は、お祝い金などの名目で、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭等を提供して求職の申込みを勧奨してはいけません。2021年4月に指針で禁止され、2025年1月からは許可条件にもなりました。自社の紹介で無期雇用として就職した人に、就職から2年間は転職を勧めないことも、同じく2025年1月からの許可条件です。SESの採用と同じ感覚で「入社お祝い金キャンペーン」を企画すると許可条件違反になり得るため、許可申請の段階からルールに組み込んでください。

出典:厚生労働省「職業紹介事業の許可条件が追加されます(2025年1月1日から適用)」

立ち上げ初期の集客設計|20代未経験IT層の壁と送客活用

SES企業の紹介参入で最後に残る壁が、新しい求職者を集めることです。経験者のエンジニアはスカウト媒体での競争が激しく、返信を得にくい層です。一方、20代で未経験からIT職を目指す層は、SESの採用で接点があっても、紹介事業としての集客は別に組み立てる必要があります。

立ち上げ期の現実的なチャネル構成は次のとおりです。

  • 既存の人材情報:紹介の利用に本人が同意し、求職を申し込んだ人は初期の面談につながる。ただし人数は限られる前提で計画する
  • リファラル:稼働中のエンジニアからの知人の紹介。紹介された人から改めて求職の申込みを受けてから面談に進む
  • Web広告:運用のノウハウがないと、面談1件あたりの費用が読みにくく、初月から赤字になりやすい
  • 着座課金型の送客サービス:面談が決まった求職者を1件単位で受け取れるため、集客の体制がなくても初月から面談を組みやすい

このうち送客サービスは、固定費をかけずに面談数を計画に近づけやすい点で、参入初期のSES企業に合う選択肢の一つです。たとえばL reachは、初期費用・月額費用0円、着座課金1件1.5万〜3.5万円(税別)で、登録者の平均年齢は24.7歳、20代の比率は95.7%です。全件にオペレーターが15分のプレ面談を行い、日程調整まで対応するため、兼任2名の体制でも面談そのものに時間を使えます。

チャネルの評価は「面談1件あたりのコスト」と「面談からの成約率」の掛け算で行い、四半期ごとに予算配分を見直します。SESの稼働率管理と同じ発想で、集客もダッシュボードで定点観測する体制を初月からつくっておきます。業界別の集客チャネルとCPAの感覚は業界別人材紹介の集客戦略【2026】で詳しく扱っています。未経験層の育成から紹介につなげるモデルはスクールの人材紹介参入で取り上げており、研修部門を持つSES企業には参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q
SES事業と人材紹介は同じ会社・同じ事業所で兼業できますか?
A
できます。有料職業紹介の許可を受ければ、同じ法人でSESと紹介を並行して運営できます。基準資産額500万円×事業所数などの許可要件を満たすことに加えて、SESで預かった情報と紹介事業で預かった情報を、目的ごとに分けて管理する必要があります。
Q
SESの技術者データベースをそのまま紹介に使えますか?
A
そのままは使えません。SESの採用や要員管理のために預かった個人情報を職業紹介に使う場合、取得時の利用目的に職業紹介が含まれていなければ、あらかじめ本人の同意が必要です(個人情報保護法第18条)。求人企業に情報を渡すには、第三者提供の同意も要ります。パートナー企業から受け取った要員情報は、その会社との契約で決めた目的以外には使えないと考えて、まず契約を確認してください。そのうえで、本人が転職を希望した場合に、紹介事業として改めて求職の申込みと同意を受けます。
Q
自社エンジニアを顧客に紹介して手数料をもらうことはできますか?
A
在籍中のエンジニアを、会社の都合で顧客に移籍させて対価を得る発想は避けたほうが安全です。本人が転職を希望し、紹介事業に求職を申し込んだ場合に限って、職業紹介として扱う余地があります。その場合も、手数料は届け出た手数料表に基づくもので、SES契約上の精算とは分けて整理します。本人の意思の確認とSES顧客との契約の扱いは、法務と管轄の労働局に確認してください。
Q
許可取得から売上が立つまでどのくらいかかりますか?
A
申請から許可までは、厚生労働省の案内でおおむね2〜3か月です(書類の不備や時期によって延びることがあります)。その後に求人開拓・集客・マッチング・入社を経て手数料が入るため、申請から初回の入金までは6ヶ月〜1年を見込むのが現実的です。SESの月次収益でこの期間を支える資金計画を組んでください。
Q
SES企業の紹介参入で最初に置くべきKPIは何ですか?
A
決定数の先行指標である「月間面談数」です。面談数×成約率×平均手数料が売上の方程式で、立ち上げ期は成約率よりも面談数の確保が先です。面談単価(面談1件あたりの集客コスト)は、チャネル別に計測します。
Q
手数料率はどのくらいに設定すべきですか?
A
届出制の手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づいて自社で決めます。理論年収の30〜35%程度に設定する会社が多いというのが、L reach編集部が取材で聞く範囲の目安です(統計ではありません)。既存のSES顧客への紹介は関係性を背景に交渉しやすい一方、安く設定しすぎると採算が合いません。返金規定とセットで設計してください。
Q
紹介部門は別会社にすべきですか?同一法人内でよいですか?
A
立ち上げ期は、同じ法人の中の部門として始める方法がとりやすいでしょう。基準資産の要件を法人単位で満たしやすく、SESの信用やバックオフィスを共用できるためです。別会社にする場合は、SES側で預かった個人情報を別会社に渡すことが第三者提供にあたる点も考慮します。事業が大きくなり、評価制度や採用ブランドを分けたくなった段階で分社化を検討する流れが考えられます。
開業・立ち上げフェーズの会社様へ

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L reachは初期費用・月額費用0円の着座課金型です。開業直後の面談獲得を、面談が実施された分の費用だけで支援します。

相談前に整理できること

  • 初月の面談獲得ルート設計
  • 固定費を抑えた導入
  • 開業後の集客不足を補完

まとめ|SES企業の参入は「資産の転換」と「集客の新設」の二段構え

SES企業の人材紹介参入のポイントを整理します。

  • 参入の合理性:技術の理解・顧客基盤・採用で培った面談の経験を生かせる。月次収益のSESと一括手数料の紹介は補い合う関係にある
  • 要件・手続き:基準資産額500万円×事業所数、法定費用14万円(1事業所)、申請から許可までおおむね2〜3か月。SESと紹介の契約・情報を切り分ける
  • 固有リスク:自社エンジニアの転籍は、ルールがない状態がいちばん危うい。保有する人材情報は、利用目的・本人の同意・既存の契約・本人の転職意思を確認してから使う
  • 最大の壁:既存の資産でカバーできない新規求職者の集客、特に20代未経験IT層の母集団形成

参入するかどうかの判断材料は人材紹介事業への参入ガイド2026に、他業種の進め方は派遣会社の兼業・スクールの参入・求人広告代理店の参入・社労士・税理士の参入にまとめています。関連記事の一覧は事業会社の参入に関する記事の一覧です。

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L reach編集部

人材紹介事業ナレッジ編集チーム

foresma株式会社が運営する求職者送客サービス『L reach』編集部。人材紹介会社の支援実績をもとに、集客・CV・運用ノウハウを発信しています。

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