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人材紹介事業の収支シミュレーション|法人参入のPLと黒字化モデル

公開日 更新日 16分
人材紹介事業の収支シミュレーション|法人参入のPLと黒字化モデル

人材紹介事業の収支シミュレーションを、法人が新規事業として参入する視点でまとめました。収益式と初期投資、CA1名・3名・5名体制それぞれの月次PLモデルと黒字化の時期、入金の遅れや返戻金を含む運転資金、感度分析、稟議での想定問答まで、事業計画書に転記しやすい形で整理しています。

この記事の結論

人材紹介の収支は「成約数×紹介手数料−コスト」という式で表せます。初期投資が小さいぶん、結果を大きく左右するのは毎月の変動費、つまり求職者の集客コストです。このモデル(試算)では、単月の黒字化はCA1名体制が4か月目にほぼ収支均衡・7か月目から黒字、3名体制が7か月目です。ただし「初月から面談数を確保できる集客」が前提で、入金は売上の計上より後になるため、手元資金の底はPLの累計赤字より深くなります。

人材紹介事業の収益式|すべてはこの1本から始まる

人材紹介事業のPLは、次の1本の式に集約されます。

月次営業利益 = 成約数 × 紹介手数料(1件あたり) − コスト(固定費+変動費)

成約数 = 面談数 × 成約率
紹介手数料(1件あたり) = 想定年収 × 手数料率

たとえば想定年収400万円・手数料率30%なら、紹介手数料は1件120万円です。月20件の面談で成約率10%なら月2件の成約で、売上は240万円になります。

この記事でいう「紹介手数料」は、成約1件あたりの売上です。成約1件を得るまでにかかった集客費は「決定単価」と呼び、人材紹介の決定単価とはと同じ意味で使います。式の各変数の意味を押さえておきます。

変数 内容 法人参入時のポイント
面談数 CAが求職者と面談する件数 集客力で決まる。参入初期の最大のボトルネック
成約率 面談から入社に至る比率 面談の質・求人の質・ターゲット整合で変動。計画では保守的に置く
想定年収 決定者の理論年収 扱う業界・年齢層で決まる。若手未経験なら300万円台〜400万円台が中心
手数料率 理論年収に対する紹介手数料の比率 このモデルでは30%(感度分析では35%も試算)。実際の料率は、届け出た手数料表と求人企業との契約で決まる
固定費 人件費・オフィス・システム等 参入初期は最小化し、検証後に拡張する
変動費 求職者集客費(広告・送客等) PLの最大変数。単価を固定できるかが計画精度を左右する

市場環境も、式の外側にある前提です。ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増)と拡大しています。厚生労働省の集計では、令和6年度の民営職業紹介の常用就職1件あたりの手数料は約103万円(前年度比10.9%増)で、モデルで120万円を置くときの目安になります。

出典:矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)」(2025年10月24日公表)、厚生労働省「令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」。両者は対象の範囲が違うため、直接は比べられません。

売上側(面談数×成約率×単価)をさらに細かく動かしたい方は、人材紹介の売上シミュレーションが参考になります。この記事は、そこにコスト・初期投資・月次の推移を加えた「参入PLの全体」を扱います。

初期投資一覧|人材紹介は「初期費用が軽い」は半分だけ正しい

人材紹介は在庫も設備も不要で、初期投資が軽い事業と言われます。法定費用だけ見ればその通りですが、法人として立ち上げる場合は「財務の要件」と「立ち上げ期の運転資金」まで含めて資金計画を立てる必要があります。

項目 金額の目安 性質
法定費用(許可申請) 14万円(1事業所の場合。登録免許税9万円+収入印紙5万円。2事業所目からは収入印紙が1事業所につき1.8万円増える) 支出
資産の要件 基準資産額(資産−負債−繰延資産・営業権)500万円×事業所数、現預金150万円+60万円×(事業所数−1) 支払う費用ではなく、申請時の決算書で確認される財務の要件。資本金の額とは別。新設子会社で参入する場合は出資額の設計に関わる
職業紹介責任者講習 受講料は実施機関で異なる(令和8年度の一般料金は税込8,800〜14,000円) 支出
CA採用費 体制による(モデルでは1名あたり50〜100万円と仮置き) 支出
システム・CRM・求人DB初期設定 モデルでは30〜100万円と仮置き 支出
事務所整備 既存オフィス活用ならプライバシー確保の区画整備費のみ 支出
立ち上げ期の集客費・運転資金 後述の月次PLの累計赤字と、入金の遅れで生じる不足分 最も見落とされる項目

2026年9月時点。法定費用と資産の要件は厚生労働省「職業紹介事業の申請・届出手続き」、講習の受講料は全国民営職業紹介事業協会・日本人材紹介事業協会の案内によります。CA採用費・システム費はモデルの仮置きです。

注意すべきは時間軸です。申請から許可まではおおむね2〜3か月(厚生労働省の案内。書類の不備や時期で延びることがある)で、講習・書類準備を含めると3〜4か月を見込みます。許可後も面談から入社(売上計上)まで数か月かかるため、申請から売上計上まで最短でも半年程度、入金はさらにその後です。許可取得の要件と手順は法人が有料職業紹介の許可を取得する手順、月単位の段取りは人材紹介の参入スケジュールで整理しています。

稟議で効く整理:初期投資は小さく、運転資金は厚く

人材紹介の参入で本当に必要なのは、初期の設備投資ではなく「黒字化までの赤字と入金の遅れを許容する運転資金」です。後述のモデルでは、CA1名体制でも累計赤字の底は約318万円、3名体制では約1,071万円になり、入金を1か月遅らせると3名体制の現金の底は約1,461万円まで深くなります(試算)。稟議では、初期費用ではなく、この「現金の底」に初期投資を足した額を最大投下資金として予算を取るのが実務的です。

月次PLモデル3パターン|CA1名・3名・5名体制の黒字化シミュレーション

ここからが記事の中心です。3つの体制別に、前提表→月次推移→黒字化の時期の順で示します。いずれも前提を置いた試算で、実績や達成を約束する数字ではありません。共通の前提は次の通りです。

  • 面談から入社(売上計上)までを3か月と仮定し、ある月の成約数は「3か月前の面談数×成約率」で計算(月1〜3は売上ゼロ)
  • 成約率は、月1〜3の面談が8%、月4以降の面談が10%
  • 紹介手数料は1件120万円(想定年収400万円×手数料率30%)で統一
  • 集客は着座課金型送客を軸に、面談1件あたり3万円の変動費で調達できる前提
  • 返戻金・辞退による目減りと入金の遅れはPLに入れず、この章の最後で別に試算

想定年収の置き方は扱う業界で大きく変わります。業界による単価の違いは独立後の業界別年収レンジでも取り上げています。

パターン1:CA1名体制(ミニマム検証型)

前提項目 設定値
体制 CA1名(管理は既存部門が兼務)
固定費 70万円/月(CA人件費45万円+システム・求人DB・その他25万円)
面談数 月1〜3:12件/月 → 月4〜6:15件/月 → 月7〜12:20件/月
成約率 月1〜3の面談は8%、月4以降の面談は10%(入社は面談の3か月後に計上)
紹介手数料 1件120万円
集客変動費 面談1件あたり3万円

→ 表は横にスクロールできます

期間 面談数/月 成約数/月 売上/月 変動費/月 固定費/月 営業損益/月 累計損益(期末)
月1〜3 12件 0件 0万円 36万円 70万円 −106万円 −318万円
月4〜6 15件 0.96件 約115万円 45万円 70万円 +0.2万円 約−317万円
月7〜9 20件 1.5件 180万円 60万円 70万円 +50万円 約−167万円
月10〜12 20件 2.0件 240万円 60万円 70万円 +110万円 約+163万円

成約数は3か月前の面談から計算しています。月4〜6は月1〜3の面談(12件×8%)、月7〜9は月4〜6の面談(15件×10%)、月10〜12は月7〜9の面談(20件×10%)が元になります。

このモデルでは、4か月目に成約の計上が始まって収支がほぼ均衡し(月+0.2万円)、はっきり黒字になるのは7か月目からです。累計損益は11か月目にプラスに転じ、初期投資(許可・採用・整備で200〜250万円と仮定)まで含めた回収は13か月目の計算になります。累計赤字の底は3か月目の約318万円+初期投資分です。小さく検証して体制拡大の判断材料を得るフェーズと位置づけるのが現実的です。

パターン2:CA3名体制(標準参入型)

前提項目 設定値
体制 CA3名+マネージャー兼務0.5名
固定費 210万円/月(CA人件費135万円+管理30万円+システム・その他45万円)
面談数 月1〜3:30件/月 → 月4〜6:45件/月 → 月7〜12:60件/月
成約率 月1〜3の面談は8%、月4以降の面談は10%(3か月遅れで計上)
紹介手数料 1件120万円
集客変動費 面談1件あたり3万円

→ 表は横にスクロールできます

期間 面談数/月 成約数/月 売上/月 変動費/月 固定費/月 営業損益/月 累計損益(期末)
月1〜3 30件 0件 0万円 90万円 210万円 −300万円 −900万円
月4〜6 45件 2.4件 288万円 135万円 210万円 −57万円 −1,071万円
月7〜9 60件 4.5件 540万円 180万円 210万円 +150万円 −621万円
月10〜12 60件 6.0件 720万円 180万円 210万円 +330万円 +369万円

単月の黒字化は7か月目、累計損益のプラス転換は11か月目です(試算)。月4〜6は成約の計上が始まっても、立ち上がり期の成約率8%の影響で赤字が残ります。累計赤字の底は6か月目の約1,071万円+初期投資分です。10〜12か月目の条件が続けば、2年目の売上は約8,640万円(月6件×120万円×12か月)の計算です。ただし返戻金、採用・教育費、本社の間接費はこのモデルに入っていないため、利益率は別に見込んでおきます。

パターン3:CA5名体制(本格参入型)

前提項目 設定値
体制 CA5名+専任マネージャー1名
固定費 350万円/月(CA人件費225万円+マネージャー60万円+システム・その他65万円)
面談数 月1〜3:50件/月 → 月4〜6:75件/月 → 月7〜12:100件/月
成約率 月1〜3の面談は8%、月4以降の面談は10%(3か月遅れで計上)
紹介手数料 1件120万円
集客変動費 面談1件あたり3万円

→ 表は横にスクロールできます

期間 面談数/月 成約数/月 売上/月 変動費/月 固定費/月 営業損益/月 累計損益(期末)
月1〜3 50件 0件 0万円 150万円 350万円 −500万円 −1,500万円
月4〜6 75件 4.0件 480万円 225万円 350万円 −95万円 −1,785万円
月7〜9 100件 7.5件 900万円 300万円 350万円 +250万円 −1,035万円
月10〜12 100件 10.0件 1,200万円 300万円 350万円 +550万円 +615万円

単月の黒字化は7か月目、累計損益のプラス転換は11か月目です(試算)。ただしこのモデルは「月100件の面談を安定調達できる集客」と「CA5名を同時に採用・育成できる組織力」の両方が前提です。集客か採用のどちらかが計画を下回ると、赤字の底(約1,785万円+初期投資)はさらに深くなります。実務ではパターン1〜2で検証してから拡張する段階設計が安全です。

3パターンとも、前提を変えれば結果も変わります。成約率を高めに置いた計画ほど実績との差が出やすいため、稟議用の基本シナリオは、このモデルのように8〜10%程度の控えめな値で作り、上振れは別シナリオで示すと説明しやすくなります。

PLの黒字と手元の現金は別|入金の遅れ・返戻金・運転資金

ここまでのPLは、入社した月に紹介手数料を売上として計上する前提です。実際の入金は、求人企業との契約の支払条件によって入社より後になります。たとえば「入社月の月末締め・翌月末払い」なら、入社から入金まで1〜2か月かかります。

パターン2(CA3名)で、売上の入金が計上の1か月後になると仮定して、手元資金の動きを計算しました。

項目 PL(入社月に計上) 現金(入金は計上の1か月後)
累計がもっとも深くなる月 6か月目 7か月目
その時点の累計 約−1,071万円 約−1,461万円
12か月目の累計 約+369万円 約−351万円
累計がプラスに戻る月 11か月目 14か月目

パターン2の前提(固定費210万円/月、面談1件3万円、紹介手数料120万円)で、費用はその月に支払い、売上は翌月に入金されると仮定したL reach編集部の試算です。初期投資・返戻金・税金は含めていません。

PLの累計は11か月目にプラスになりますが、手元の現金は12か月目でも約351万円のマイナスです。運転資金は、PLの累計赤字(約1,071万円)ではなく、入金の遅れを含めた現金の底(約1,461万円)に初期投資を足して見積もります。

返戻金への備えも必要です。紹介した人が早期に退職すると、契約で定めた返戻金を求人企業に返します。返金の率や対象期間は契約で決めるもので、法律で一律に決まってはいません。たとえば紹介手数料120万円の50%を返す条件なら、1件で60万円が減ります(計算例)。PLで売上を計上していても、対象期間が終わるまでは一部を返す可能性がある前提で資金を残しておきます。なお、有料職業紹介事業者は、手数料とあわせて返戻金制度の内容を求人者・求職者に明示する必要があります(職業安定法第32条の13)。返金規定の決め方は人材紹介の返金規定(リファンド)相場で解説しています。

最大変数は集客コスト|CPA→面談単価→決定単価で逆算する

モデルの数字を見ると、固定費よりも「面談1件3万円×面談数」という変動費が、売上に連動して大きく動くことが分かります。人材紹介のPL管理では、この集客コストをどう逆算するかが中心になります。

倒産の統計も、集客費の重さを示しています。東京商工リサーチによると、職業紹介業の倒産は2024年度(4月〜2月)に21件と過去最多でした。同社は背景として人手不足と過当競争を挙げ、中小の事業者では広告宣伝費が資金繰りを圧迫する例も増えていると指摘しています。倒産件数は負債1,000万円以上が対象で、廃業や撤退の件数ではありません。

出典:東京商工リサーチ「人材関連サービス業の倒産、過去10年で最多」(2025年3月11日公表)

3階層の単価で管理する

1

登録単価(CPA):求職者1人の登録を獲得するコスト

広告費÷登録数。たとえば広告で登録1件8,000円を想定します。ただし登録者全員が面談に進むわけではありません。

2

面談単価:面談1件を実施するのにかかった総コスト

登録単価÷面談化率。登録単価8,000円÷面談化率40%なら面談単価は2万円です。面談化率が20%に落ちれば、面談単価は4万円に上がります。自社広告運用の場合、この面談化率が最大の不確実要素です。

3

決定単価:成約1件あたりの集客コスト

面談単価÷成約率。面談単価3万円・成約率10%なら、成約1件の集客コストは30万円で、紹介手数料120万円の25%にあたります。この比率が高いほど、人件費などの固定費に回せる粗利が減ります。パターン2の10〜12か月目では、集客費が売上の25%(180万円÷720万円)、固定費が約29%(210万円÷720万円)で、残りの約46%が営業利益です。

着座課金を「計画可能な変動費」として使う

自社広告運用は当たれば面談単価を下げられますが、立ち上げ期は面談化率が読めず、PLの精度が大きく落ちます。そこで参入初期の設計としては、着座課金型送客サービスで面談単価を固定する方法があります。たとえばL reachは初期費用・月額費用0円の着座課金で、着座単価は1.5万〜3.5万円(税別。職種・エリアで変動)です。全件にオペレーターが15分のプレ面談を行い、日程調整まで対応したうえで送客し、重複・要件不一致・無断キャンセルは課金されません。面談1件あたりの費用が契約で決まるため、このモデルのように「面談1件=3万円の変動費」として月次PLに組み込みやすくなります。中長期では自社チャネルを育てて面談単価を下げていく、という二段構えで考えると計画が立てやすくなります。CPA・面談単価の下げ方は人材紹介のCPA削減7選で詳しく取り上げています。

感度分析|成約率と紹介手数料が振れたらPLはどう動くか

稟議で必ず問われるのが「前提が外れたらどうなるか」です。パターン2(CA3名・安定期:面談60件/月・変動費180万円・固定費210万円)を基準に、成約率と成約1件あたりの紹介手数料を振った月次営業損益のマトリクスを示します。

→ 表は横にスクロールできます

月次営業損益 紹介手数料105万円
(年収350万×30%)
紹介手数料120万円
(年収400万×30%)
紹介手数料140万円
(年収400万×35%)
成約率6%(3.6件/月) −12万円 +42万円 +114万円
成約率8%(4.8件/月) +114万円 +186万円 +282万円
成約率10%(6.0件/月) +240万円 +330万円 +450万円
成約率12%(7.2件/月) +366万円 +474万円 +618万円

安定期の1か月を切り出した試算です。成約の計上時期のずれ、返戻金、入金の遅れは含めていません。

この表から読み取れる実務上の示唆は3つです。

  • 表の中で赤字になるのは「成約率6%×紹介手数料105万円」だけ。面談数を確保できていれば、成約率や単価が多少下振れしても、安定期の月次では黒字を保ちやすい
  • 成約率が2ポイント動くと、月次損益は120万円以上動く。成約率を10%から12%に上げると、面談数を2割増やした場合(72件×10%)と同じ7.2件の成約になり、集客費は増えない
  • 紹介手数料の引き上げ(手数料率35%での契約、年収レンジの高い求人の獲得)は、コストを増やさずに利益を押し上げる

逆に言えば、この表のすべての前提になっているのが「面談60件/月の安定調達」です。面談数が半分になれば全セルの売上が半減する一方で、固定費は変わりません。感度分析の外側にある最大のリスクは、やはり集客です。

稟議で聞かれる質問と答え方

新規事業の稟議・役員会で問われやすい質問と、このモデルを使った回答の組み立て方を整理します。

想定質問 答え方の骨子
「いくらで始められて、最大いくら溶ける可能性があるのか」 初期支出は法定費用14万円(1事業所)+採用・整備費で数百万円規模。ただし本質は現金の底(CA3名のモデルでPL上の累計赤字が約1,071万円、入金を1か月遅らせると約1,461万円)に初期投資を足した額で、これを最大投下資金として申請する
「いつ黒字化するのか」 単月黒字化はモデルで7か月目(CA1名は4か月目にほぼ均衡)。その前に申請から許可までおおむね2〜3か月、講習・書類準備を含めて3〜4か月かかるため、プロジェクト起点では約1年後。面談から入社までのリードタイムが理由であることを説明する
「その成約率・単価の根拠は」 紹介手数料は、自社の手数料表と獲得できる求人の年収帯から置いたこと(モデルでは年収400万円×30%)を示し、参考値として厚生労働省の集計(常用就職1件あたり約103万円)を添える。成約率は保守8%・標準10%の2段で置く。楽観シナリオで稟議を通さないことが、後の撤退判断を守る
「最大のリスクは何か」 求職者集客の立ち上げ遅延。対策として面談単価を固定できる着座課金型の調達で計画精度を担保し、KPIは面談数・成約率・紹介手数料の3点で月次報告すると答える
「撤退基準は」 「12か月目までに単月黒字化しない場合」など、累計赤字の上限と期限をセットで事前に定義しておく

稟議資料の全体構成(市場性・許可・体制・収支計画)については、人材紹介事業への参入ガイドもあわせてご活用ください。

よくある質問(FAQ)

Q
人材紹介事業の利益率はどのくらい見込めますか?
A
売上原価がほぼない事業のため粗利率は高く、このモデルでは成約が安定する10〜12か月目の営業利益率が約46%(パターン2で月330万円÷720万円)、7〜9か月目は約28%です。ただしモデルには返戻金、採用・教育費、本社の間接費、税金を入れていないため、実際の計画ではこれより低く見積もるのが安全です。集客が計画を下回ると、固定費の負担で利益率は急速に下がります。
Q
黒字化まで何か月かかりますか?
A
このモデルでは、単月の黒字化はCA1名体制が4か月目(ほぼ均衡)〜7か月目、3名・5名体制が7か月目で、累計損益のプラス転換はいずれも11か月目です。事業開始の前に、申請から許可までおおむね2〜3か月(講習・書類準備を含めると3〜4か月)かかるため、プロジェクトの開始から数えると、単月黒字化まで約1年、累計のプラス転換まで1年2〜3か月ほどになります。入金の遅れを含めた現金の回収はさらに後になるため、面談から入社までのリードタイム(約3か月)と支払条件を計画に織り込んでください。
Q
初期投資はいくら必要ですか?
A
法定費用は14万円(1事業所の場合。登録免許税9万円+収入印紙5万円)です。これとは別に、基準資産額500万円以上・現預金150万円以上(1事業所の場合)という財務の要件があり、申請時の決算書で確認されます。実際の資金計画には、採用費・システム費と立ち上げ期の赤字(運転資金)が加わります。このモデルでは、CA1名の検証型で累計赤字の底が約318万円(入金の遅れを入れると約447万円)で、初期投資200〜250万円を足すと500〜700万円規模です。CA3名の標準型では、現金の底約1,461万円に初期投資が加わります。
Q
収支シミュレーションで最も外れやすい前提はどれですか?
A
「面談数(集客)」と「成約率」です。成約率を高めに置いた計画ほど実績との差が出やすいため、このモデルと同じく8〜10%程度の控えめな値を基本にしてください。面談数は、自社広告だと面談化率しだいで大きく振れます。単価が固定される調達手段を混ぜると、計画の精度が上がります。
Q
紹介手数料(成約1件あたりの売上)はどう見積もればよいですか?
A
紹介手数料は「想定年収×手数料率」で見積もります。このモデルでは年収400万円×30%=120万円と置いています。料率は、届け出た手数料表の範囲で求人企業と合意した契約で決まります。参考までに、厚生労働省の集計では令和6年度の民営職業紹介の常用就職1件あたりの手数料は約103万円でした。扱う年齢層・業界で想定年収が変わるため、自社が獲得できる求人の年収帯から逆算してください。成約1件を得るまでの集客費(決定単価)の考え方は人材紹介の決定単価とはで解説しています。
Q
副業的に小さく始めて検証できますか?
A
法人でもCA1名のミニマム体制から検証は可能です。ただし許可要件(基準資産・事務所・責任者)は規模にかかわらず必要で、固定費が小さくても集客変動費は面談数に比例して発生します。検証期こそ、面談単価が固定される調達手段でPLをシンプルに保つと、結果を読み取りやすくなります。
費用対効果を見直したい会社様へ

この収支モデル、貴社の前提数値ではどう動きますか?

現在の集客費・面談数・成約数をもとに、面談1件と成約1件あたりの費用をL reachが試算します。

相談前に整理できること

  • CPAではなく面談単価で判断
  • 決定単価まで逆算
  • 広告費との併用可否を確認

まとめ|収支シミュレーションの精度は「集客の変動費化」で決まる

人材紹介事業の収支シミュレーションの要点を整理します。

  • 収益式は成約数×紹介手数料(想定年収×手数料率)−コスト。構造は単純で、変数の置き方がすべて
  • 初期支出は軽いが、本当に必要なのは運転資金。PLの累計赤字(CA1名で約318万円、3名で約1,071万円)より、入金の遅れを含めた現金の底のほうが深くなる
  • モデルの単月黒字化は7か月目(CA1名は4か月目にほぼ均衡)。申請準備から許可までの3〜4か月と、入社・入金までのリードタイムを時間軸に織り込む
  • 最大変数は集客コスト。CPA→面談単価→決定単価の3階層で管理し、立ち上げ期は面談単価を固定できる着座課金型の調達で計画精度を確保する
  • 稟議は保守シナリオで通し、撤退基準(期限×累計赤字の上限)を先に定義しておく

参入判断の全体像(市場性・許可・参入形態の比較)は人材紹介事業への参入ガイド、許可取得の実務は法人の許可取得ガイド、参入に関する記事の一覧は人材紹介事業への参入完全ガイドにまとめています。

更新履歴
  • 2026-09-24:月次PLモデルを「成約は面談の3か月後に計上」の前提どおりに計算し直し、黒字化の時期と累計赤字を修正。入金の遅れ・返戻金・運転資金の試算を追加
  • 2026-07-08:公開
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L reach編集部

人材紹介事業ナレッジ編集チーム

foresma株式会社が運営する求職者送客サービス『L reach』編集部。人材紹介会社の支援実績をもとに、集客・CV・運用ノウハウを発信しています。

集客の費用対効果は、面談単価と成約率、紹介手数料の組み合わせで大きく変わります。自社の数字で確かめたいときはご相談ください。

初期費用・月額費用なし/契約期間の縛りなし