料金・収益

人材紹介の決定単価とは|業界平均と下げる5つの打ち手【2026】

公開日 更新日 22分
人材紹介の決定単価とは|業界平均と下げる5つの打ち手【2026】

「CPAは下げたのに利益が伸びない」——その原因は、CPAだけを見ていることにあるかもしれません。人材紹介の決定単価は、成約1件を得るためにかかった費用で、CAC(顧客獲得費用)と呼ばれる考え方に当たります。広告費だけで計算する式と人件費を含む総費用の式、業界別の目安、決定単価を下げる5つの打ち手、売上シミュレーションを、計算例つきでまとめました。

この記事の結論
  • 決定単価は「成約1件を得るためにかかった費用(CAC)」。受け取る側の「紹介手数料単価(1件あたりの売上)」とは別の指標
  • 広告費だけで計算する式と、集客・面談にかかる人件費を含めた総費用の式の両方で見る
  • 業界別の公的な統計はない。本記事の業界別の数値はL reach編集部の目安で、決定単価は「面談単価÷成約率」で計算した試算
  • 下げる打ち手は「年収レンジ/再面談率/同行同席/独占求人/ハイクラス移行」の5つ。成約率が15%から22%に上がると、決定単価は計算上約32%下がる

費用対効果の基礎は「人材紹介の手数料相場2026」「人材紹介の売上シミュレーション」「着座課金のメリット5選」、CPAの下げ方は「人材紹介のCPA削減7選」で取り上げています。費用対効果の記事は「面談単価・決定単価で集客投資を判断する完全ガイド」にまとまっています。

「決定単価」とは|CPAより経営者の意思決定に直結する新指標

決定単価の定義

決定単価とは、1件の成約(決定)を得るためにかかった費用のことです。ここでは成約1件あたりの獲得費用(CAC)と同じ意味で使います。CPA(Cost Per Acquisition)が「求職者1人の登録にかかる費用」、面談単価が「面談1件の実施にかかる費用」であるのに対し、決定単価は成約までの費用をまとめて見るため、利益の判断に最も近い指標です。

用語注記|「決定単価」の2つの用法

業界では「決定単価」を「成約1件あたりの紹介手数料(売上側)」の意味で使う会社もあります。混同を避けるため、この記事では次のように呼び分けます。

  • 獲得する側(コスト):決定単価=成約1件あたりの獲得費用(CAC)
  • 受け取る側(売上):紹介手数料単価=成約1件あたりに受け取る紹介手数料

売上側の計算は、売上シミュレーションの用語整理も参照してください。

決定単価の計算式

決定単価は、どこまでの費用を含めるかで2通りに計算できます。

【広告費ベース】
決定単価 = 集客費(広告費・媒体費・送客料)÷ 成約数
決定単価 = 登録CPA ÷ 面談化率 ÷ 成約率
決定単価 = 面談単価 ÷ 成約率

【総費用ベース】
決定単価 = (集客費 + 集客・面談にかかる人件費など)÷ 成約数

広告費ベースは、チャネルごとの費用対効果を比べるときに使います。総費用ベースは、日程調整や面談にかかるCAの人件費まで含めて、1件の成約にいくらかかっているかを経営として判断するときに使います。日程調整まで外部に任せられるチャネルは、広告費ベースでは高く見えても、総費用ベースでは差が縮まることがあります。以下の計算例は、断りのない限り広告費ベースです。

CPAとの違いと、決定単価の優位性

ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増、矢野経済研究所)まで伸び、事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561(厚生労働省「令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」)あります。東京商工リサーチの調べでは、2023年度に売上高に占める宣伝費の比率が最も高かった業種は職業紹介業(18.8%)でした(同社の宣伝費動向調査)。

集客にお金がかかる業界だからこそ、CPAだけを見ていると「CPAは下がっているのに利益は減っている」ということが起こります。CPAは入口の登録までしか測っておらず、面談化率や成約率の悪化をとらえられないためです。

次の2社(架空の計算例)で比べてみます。

指標 A社 B社
登録CPA 8,000円 25,000円
登録→面談化率 25% 75%
面談→成約率 8% 18%
面談単価 32,000円 33,333円
決定単価 400,000円 185,185円
紹介手数料単価 1,200,000円 1,200,000円
集客費用比率(決定単価÷紹介手数料単価) 33% 15%

A社は登録CPAが8,000円と安く見えますが、決定単価は40万円です。B社は登録CPA25,000円と一見高いものの、決定単価は約18.5万円で、A社の半分以下に収まっています。同じ広告費100万円で比べると、面談数はA社約31件・B社30件とほぼ同じなのに、成約はA社2.5件・B社5.4件です。広告費を引いた後に残る額は、A社200万円に対してB社548万円と、2倍以上の差になります。

これがCPAだけで判断するときの落とし穴です。決定単価まで見て初めて、集客投資の費用対効果が分かります。

計算の組み立ては「人材紹介の売上シミュレーション」「人材紹介のCPA削減7選」でも取り上げています。

業界別の決定単価相場|2026年最新版

業界別の決定単価(CAC)の平均を示す公的な統計はありません。下の表は、L reach編集部が取材・支援の中で聞いた紹介手数料単価・成約率・面談単価の目安(2026年5月時点)をもとに、決定単価を「面談単価÷成約率」で計算した試算です。統計ではないため、自社の実績と比べる参考値としてご覧ください。

業界別 決定単価マスター表

→ 表は横にスクロールできます

業界・職種 紹介手数料単価(目安) 成約率(目安) 面談単価(目安) 決定単価(試算)
IT・エンジニア 250〜500万円 22〜32% 35,000〜80,000円 約10.9万〜36.4万円
ハイクラス・経営幹部 400〜1,000万円 18〜30% 80,000〜200,000円 約26.7万〜111.1万円
医療・看護師 80〜130万円 32〜50% 18,000〜32,000円 約3.6万〜10万円
医療・医師 300〜800万円 35〜50% 80,000〜200,000円 約16万〜57.1万円
介護 50〜90万円 38〜52% 15,000〜30,000円 約2.9万〜7.9万円
物流・ドライバー 60〜120万円 35〜50% 18,000〜35,000円 約3.6万〜10万円
営業(一般) 100〜180万円 18〜28% 25,000〜50,000円 約8.9万〜27.8万円
事務・バックオフィス 80〜140万円 12〜22% 20,000〜45,000円 約9.1万〜37.5万円
販売・サービス 60〜120万円 18〜30% 18,000〜35,000円 約6万〜19.4万円

紹介手数料単価・成約率(面談から成約した割合)・面談単価は、L reach編集部が取材・支援の中で聞いた目安で、統計ではありません。決定単価は同じ行の面談単価を成約率で割った広告費ベースの試算で、下限は「面談単価の下限÷成約率の上限」、上限は「面談単価の上限÷成約率の下限」です。人件費は含まないため、総費用ベースではこれより高くなります。

この表から読み取れることが3つあります。

医療・看護領域の詳細は看護師転職の登録単価・面談単価の早見表へ。

構造的事実1:決定単価と紹介手数料単価は連動する

紹介手数料単価が高い業界(医師・ハイクラス・IT)は面談単価も高くなりやすく、決定単価も上がります。利益は「紹介手数料単価−決定単価−人件費など」で見るのが基本で、決定単価が高いからといって不採算とは限りません(業界別の収益構造の違い(独立エージェントの年収レンジ比較)参照)。

構造的事実2:成約率の低い業界は決定単価が跳ね上がる

事務・販売・営業(一般)など成約率が低めの領域では、面談単価が同じでも決定単価が膨らみます。表の事務・バックオフィスで、面談単価45,000円・成約率12%なら決定単価は37.5万円で、紹介手数料単価80万円の半分近くを占めます。成約率の改善が、決定単価を下げる一番の手段になります。成約率の上げ方は「人材紹介の成約率を上げる7施策」で取り上げています。

構造的事実3:「決定単価÷紹介手数料単価」は利益の目安になる

決定単価を紹介手数料単価で割った比率(集客費用比率)は、利益がどのくらい残るかの目安になります。この比率に「ここまでなら健全」という共通の基準はありません。人件費や家賃などの費用が紹介手数料の何%を占めるか、目標とする利益率をいくらにするかで、許せる上限は会社ごとに変わります(次の章の逆算式を参照)。

たとえば紹介手数料単価150万円・決定単価45万円なら、比率は30%です。人件費などに回せるのは残りの70%(105万円)で、そこから目標の利益を確保できるかを確かめます。

業界別の集客の考え方は「業界別 人材紹介の集客戦略」、チャネルごとの比較は「人材紹介の集客方法まとめ【2026】」で取り上げています。

CPA → 面談単価 → 決定単価への逆算式

決定単価を実務で追うには、CPA→面談単価→決定単価のつながりを押さえておきます。L reach編集部が支援先のKPI設計で使っている、3段階の計算式です。

第1段階:CPA(登録単価)

登録CPA = 集客費 ÷ 求職者の登録数

例:集客費100万円、登録数200名なら、登録CPA=5,000円です。

第2段階:面談単価(面談実施までのコスト)

面談単価 = 登録CPA ÷ 面談化率
面談単価 = 集客費 ÷ 面談実施数

面談化率の上げ方は面談化率の業界平均と上げる7つの方法で取り上げています。

例:登録CPA5,000円・面談化率30%なら、面談単価=5,000÷0.30=約16,667円です。

第3段階:決定単価(成約までのコスト)

決定単価 = 面談単価 ÷ 成約率
決定単価 = 集客費 ÷ 成約数

例:面談単価16,667円・成約率15%なら、決定単価=16,667÷0.15=約11.1万円です。

Googleスプレッドシートなら「=集客費/成約数」の1セルで、決定単価を毎月計算できます。隣の列に総費用ベース「=(集客費+人件費)/成約数」も並べておくと、両方の推移を追えます。

逆算式の実務的活用法

逆算式が役に立つのは、目標から「CPAの上限」を決めるときです。

計算例として、紹介手数料単価150万円、人件費などの費用が紹介手数料の25%、目標の利益率を50%とします。このとき集客費に使えるのは、残りの25%(37.5万円)です。

許容決定単価(広告費ベース)= 150万円 × 25% = 37.5万円
許容面談単価 = 37.5万円 × 成約率15% = 56,250円
許容CPA = 56,250円 × 面談化率30% = 16,875円

つまり面談化率30%・成約率15%の運用なら、登録CPAを16,875円以下に抑えないと利益率50%を保てません。総費用ベースで見ると、成約1件にかけられる費用は、集客費と人件費などを合わせて75万円(150万円×(1−50%))までということになります。

この逆算を表計算にして毎月追うと、CPA・面談化率・成約率のどれが崩れたときに利益が削られているかがすぐに分かります。

KPI設計のテンプレートは「人材紹介KPIテンプレート完全版2026」「人材紹介のKPI設定方法」で取り上げています。

決定単価を改善する5つの打ち手

L reach編集部が支援の中で効果を確かめてきた、決定単価を改善する5つの打ち手です。打ち手ごとに、狙い、具体策、計算上の効果、難易度、効きやすい規模を整理しました。効果の数字は、前提を置いた計算例です。

打ち手1:年収レンジを上げる

狙い:紹介手数料単価を上げ、決定単価が同じでも利益が残るようにする。

紹介手数料は、届出制なら厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づいて受け取る仕組みで、法律で一律に決まった上限はありません(上限制を選ぶ場合は、就職後6か月以内の賃金の11.0%〔免税事業者は10.3%〕が上限。職業安定法)。実務では、理論年収の30〜35%程度とする例が多く見られます。

具体策:

  • 求人開拓で、年収400万円を超える案件の割合を増やす
  • 求職者と市場の相場を共有し、経験に見合う希望年収を一緒に考える
  • 求職者の希望と適性に合う範囲で、年収水準の高い職種(事務→営業、営業→IT営業など)も選択肢として示す
  • 内定後の年収交渉の支援を強める(CAの内定後対応マニュアルを整備)

効果(計算例):紹介手数料単価が120万円から160万円(+33%)になり、決定単価40万円が変わらなければ、集客費用比率は33%から25%へ約8ポイント下がります。その分が、人件費や利益に回せる額になります。

実行難易度:★★★ 中(求人開拓と、求職者への提案の両方が必要)

効くフェーズ:規模を問わず取り組める。

紹介手数料単価の考え方は「人材紹介の手数料相場2026」で取り上げています。

打ち手2:再面談率を上げる

狙い:1回の集客投資から、成約の機会を複数回つくる。

具体策:

  • 初回面談で成約に至らなかった求職者に、3か月後・6か月後に連絡する
  • LINEやメールマガジンで、長い期間の情報提供(ナーチャリング)を設計する
  • 「今すぐではなくても、1年後に転職を考えるときに再相談」を案内する
  • 過去の求職者の情報を、本人の同意の範囲で社内の資産として整理する

過去の求職者に連絡するのは、本人が今後の連絡に同意している場合に限ります。また、紹介で入社した人(無期雇用に限る)に、就職から2年間は転職を勧めることはできません(2025年1月からの許可条件)。

効果(計算例):新規の面談100件に対して、過去の求職者との再面談が10件から25件に増え、再面談も同じ成約率で決まると仮定します。同じ広告費で得られる成約は1.25÷1.10で約1.14倍になり、決定単価40万円は約35万円に下がります。

実行難易度:★★ 低〜中(CRM・LINEの仕組みづくりが必要)

効くフェーズ:ナーチャリングに人手を割ける規模で効きやすい。

CRM・LINEでの仕組みは「人材紹介CRMツール比較14選2026」「人材紹介のLINE活用集客術」で取り上げています。

打ち手3:同行同席(CA-RA共同面談)を増やす

狙い:求人企業の温度感を求職者に直接伝え、成約率を上げる。

具体策:

  • CAとRAが共同で、求職者と企業の事前面談(30分のカジュアル面談)を設定
  • 内定後、入社を決める前にRAが同席して「企業担当者との顔合わせ」を実施
  • 同行同席を月10〜20件設定できる体制を整える

効果(計算例):成約率が15%から22%(+7ポイント)に上がれば、決定単価は15÷22で約0.68倍、つまり約32%下がります。

実行難易度:★★★★ 高(CAとRAの連携、RAの稼働時間の確保が必要)

効くフェーズ:RAを専任で置けている会社で進めやすい。

同行同席の運用は「キャリアアドバイザー生産性向上の5つの方法」も参考になります。

打ち手4:独占求人を増やす

狙い:他社には出ていない求人を獲得し、求職者が決めるまでの速さと成約率を上げる。

具体策:

  • 企業との独占契約(その求人は当社のみで募集)を交渉する
  • 企業の経営層(人事責任者・財務責任者クラス)と直接の関係をつくる
  • 求職者に「独占求人だから、この会社に相談した」と思ってもらえる訴求を設計する

効果(計算例):独占求人は他社と競合しにくく、成約率を上げやすい打ち手です。独占求人が増えて成約率が15%から20%に上がれば、決定単価は計算上25%下がります(15÷20=0.75)。

実行難易度:★★★★ 高(求人開拓と、経営層との関係づくりの両方が必要)

効くフェーズ:規模を問わず有効。専門特化型のエージェントで特に効きやすい。

求人開拓のコツは「人材紹介の求人開拓方法5選」「人材紹介のRA営業のコツ7選」で取り上げています。

打ち手5:ハイクラス領域への移行・拡張

狙い:年収500万円を超えるミドル・ハイクラス領域に広げ、紹介手数料単価を大きく引き上げる。

具体策:

  • 年収500〜800万円帯のミドルクラスの求職者を獲得する(LinkedIn・ビズリーチの活用)
  • 経営幹部・専門職(医師・弁護士・コンサル)の領域を開拓する
  • 年収800万円を超えるエグゼクティブ層へ段階的に広げる

効果(計算例):紹介手数料単価が120万円から250万円(+108%)になり、決定単価が60万円から80万円に上がったとします。集客費用比率は50%から32%に下がり、成約1件あたりに残る額(紹介手数料単価−決定単価)は60万円から170万円に増えます。

実行難易度:★★★★★ 極高(CAのスキル、業界のネットワーク、媒体への投資のハードルが一気に上がる)

効くフェーズ:CAの人数と経験がそろった規模で本格化しやすい。立ち上げ期には難易度が高い。

ハイクラス領域への移行は、経営判断レベルの大きな打ち手です。L reach編集部の支援先では、年収400〜700万円のミドル層への拡張から段階的に進めるケースが多い印象です。

売上シミュレーション3パターン|決定単価を経営計画に組み込む

決定単価を売上計画に組み込むときの、3つのモデルケースです。いずれもL reach編集部が作った架空の計算例で、実績ではありません。

パターンA:現状維持型(CA3名・年商約1.8億円)

前提:

  • CA数:3名
  • 月間面談数:CA1人あたり25件(合計75件)
  • 面談単価:35,000円
  • 成約率:15%
  • 紹介手数料単価:130万円

算出:

月間成約数 = 75件 × 15% = 11.25件
月間売上 = 11.25件 × 130万円 = 1,462.5万円
年間売上 = 1,462.5万円 × 12 = 約1.76億円

月間集客費 = 75件 × 35,000円 = 262.5万円
決定単価 = 262.5万円 ÷ 11.25件 = 約23.3万円
決定単価 ÷ 紹介手数料単価 = 262.5万円 ÷ 11.25件 ÷ 130万円 = 約17.9%

集客費用比率は約17.9%です。利益が残るかどうかは、残りの約82%で人件費などの費用をまかなえるかで決まります。

パターンB:決定単価改善型(CA3名・年商約1.8億→約2.5億円)

前提:パターンAから「打ち手2(再面談率)」「打ち手4(独占求人)」を進めたと仮定します。

  • 月間面談数:CA1人あたり25件(合計75件)※変わらず
  • 面談単価:35,000円 ※変わらず
  • 成約率:15% → 20%(独占求人が増えたと仮定)
  • 紹介手数料単価:130万円 → 140万円(独占求人には条件の良い案件が多いと仮定)

算出:

月間成約数 = 75件 × 20% = 15件
月間売上 = 15件 × 140万円 = 2,100万円
年間売上 = 2,100万円 × 12 = 2.52億円(パターンAより約7,650万円増)

月間集客費 = 262.5万円 ※変わらず
決定単価 = 262.5万円 ÷ 15件 = 17.5万円
決定単価 ÷ 紹介手数料単価 = 17.5万円 ÷ 140万円 = 12.5%

集客費を増やさずに、年間売上が約7,650万円増える計算です。

パターンC:ハイクラス移行型(CA3名・年商約1.8億→約4.4億円)

前提:パターンAから「打ち手1(年収レンジ)」「打ち手5(ハイクラス移行)」を進めたと仮定します。

  • 月間面談数:CA1人あたり25件 → 20件(ハイクラスは面談1件あたりの工数が大きい)
  • 面談単価:35,000円 → 65,000円(媒体への投資を増やす)
  • 成約率:15% → 22%(仮定)
  • 紹介手数料単価:130万円 → 280万円

算出:

月間面談数 = CA1人あたり20件 × 3名 = 60件
月間成約数 = 60件 × 22% = 13.2件
月間売上 = 13.2件 × 280万円 = 3,696万円
年間売上 = 3,696万円 × 12 = 約4.44億円(パターンAより約2.68億円増)

月間集客費 = 60件 × 65,000円 = 390万円
決定単価 = 390万円 ÷ 13.2件 = 約29.5万円
決定単価 ÷ 紹介手数料単価 = 390万円 ÷ 13.2件 ÷ 280万円 = 約10.6%

決定単価の金額は上がっていますが、紹介手数料単価が大きく上がるため、集客費用比率は約10.6%まで下がります。年間売上が約4.4億円になるモデルです。ただし、ハイクラスを扱えるCAの採用・育成の費用は、この計算に入っていません。

3パターンの示唆

CPAだけを見ていると、パターンBやCに進む判断が遅れます。決定単価と紹介手数料単価の比率を経営層が毎月見る運用に切り替えると、集客投資の中身を見直すきっかけをつかみやすくなります。

売上シミュレーションのひな形は「人材紹介の売上シミュレーション」「人材紹介KPIテンプレート完全版」で取り上げています。

L reach編集部が見た「決定単価」の現場感

L reach編集部が支援・取材の中でよく耳にする、決定単価をめぐる3つの誤解を取り上げます。

誤解1:「CPAが業界平均より低ければOK」

CPAを最優先する考え方は、人材紹介の現場で長く続いてきました。ところが「CPAは下がっているのに利益が伸びない」という相談は少なくありません。原因の多くは、面談化率や成約率の悪化をとらえられていないことです。CPAと並べて決定単価を見ている会社ほど、チャネルの入れ替えや予算配分の判断が早い印象があります。

誤解2:「決定単価は職種・業界で固定」

決定単価は、打ち手次第で動かせます。打ち手3の計算例のとおり、成約率が15%から22%に上がるだけでも、決定単価は約32%下がります。「業界の平均だから仕方ない」と考えず、5つの打ち手のうち2〜3つを試すところから始めてください。効果は数か月単位で表れます(FAQのQ5参照)。

誤解3:「決定単価は経理が見る数字」

決定単価は、CA・RAの月次レビューシートにも入れておきたい数字です。CA個人の単位で見える化すると、推薦や面談の質を自分で振り返るきっかけになります。

決定単価をCA個人の単位まで下ろすと、どこで利益が削られているかを、現場と経営が同じ数字で話せるようになります。

競合との比較|決定単価で見る送客サービスの真の費用対効果

送客サービス・スカウト媒体・リスティング広告を決定単価で比べると、CPAで比べたときとは違う結果になることがあります。下の表は、L reach編集部が支援・取材の中で聞いたチャネル別の目安をもとに、決定単価を「面談単価÷成約率」で計算したものです。

チャネル別 決定単価マスター表

→ 表は横にスクロールできます

チャネル 面談単価(目安) 成約率(目安) 決定単価(試算) 集客費用比率(紹介手数料単価150万円の場合)
求職者送客(着座課金型) 15,000〜35,000円(着座単価・税別) 12〜18% 約8.3万〜29.2万円 約6〜19%
求職者送客(月額+採用成果報酬型など) ― ― (月額費用+成果報酬)÷成約数で計算 ―
リスティング広告 28,000〜45,000円 10〜16% 17.5万〜45万円 約12〜30%
SNS広告(Meta/TikTok/LINE) 18,000〜35,000円 10〜15% 12万〜35万円 8〜約23%
SEO/オウンドメディア 8,000〜25,000円 12〜18% 約4.4万〜20.8万円 約3〜14%
Indeed 13,000〜30,000円 10〜15% 約8.7万〜30万円 約6〜20%
スカウト媒体(ビズリーチ/doda) 25,000〜60,000円 8〜15% 約16.7万〜75万円 約11〜50%

面談単価と成約率は、L reach編集部が支援・取材の中で聞いた目安で、統計ではありません。決定単価は広告費ベースの試算で、人件費やSEOの記事制作などの初期投資は含みません。月額や採用成果報酬で課金するサービスは、料金を成約数で割って計算してください。

この表から見えること

事実1:スカウト媒体は決定単価で見ると最も高くなることがある

スカウト媒体は、面談単価は中くらいでも成約率が低めのため、決定単価が約16.7万〜75万円と幅広く、高くなることがあります。登録や面談の単価だけを見て「スカウト媒体は安い」と判断しないようにします。

事実2:SEOは決定単価で見ると有利になりやすい

SEOは記事制作などの初期投資がかかりますが、集客が軌道に乗った後の決定単価は約4.4万〜20.8万円と、表の中では最も低い水準です。長く続けるほど効いてくるチャネルです。

事実3:送客サービスは面談単価が読みやすい

着座課金型の送客サービスは、面談が実施された分だけ費用が発生するため、面談単価の見通しが立てやすいのが特徴です。一方で成約率は、送客される層と自社の求人の相性で変わります。決定単価でほかのチャネルと比べるときは、同じ期間・同じ職種の面談で、成約率をそろえて比べてください。

送客サービスの選び方は「求職者送客サービスとは」「着座課金とは?料金相場とメリット・選び方」で取り上げています。

人材紹介の決定単価に関するよくある質問(FAQ)

Q
決定単価とCPA、どちらを優先して見るべきですか?
A
経営者は決定単価を、現場のCAはCPA・面談化率・成約率の3指標を、そして両者の橋渡しとして面談単価を見るのが理想です。決定単価は四半期〜年単位の経営判断(チャネルへの投資配分・人員配置・拡張の判断)に、CPAは日次〜週次の運用の調整(広告クリエイティブ・キーワード・入札)に直結します。L reach編集部の支援先では、経営層が月次の会議で決定単価と集客費用比率(決定単価÷紹介手数料単価)を確かめ、現場のマネージャーが週次でCPAと面談単価を追う運用をよく見かけます。両方を見ていないと、経営と現場の判断がずれて利益を取りこぼします。
Q
業界平均より決定単価が高い場合、何から改善すべきですか?
A
まず成約率、次に紹介手数料単価、最後にCPAの順で検討するのが基本です。成約率は推薦の精度や面談の質など社内で動かせる要素が多く、紹介手数料単価は取り組みの難易度が高いものの利益への影響が大きく、CPAは媒体の相場に左右されて下げられる幅に限りがあるためです。たとえば、成約率を15%から22%に上げる(推薦の精度・面談の質の改善)→紹介手数料単価を130万円から150万円に上げる(求人開拓・年収交渉)→CPAを30,000円から25,000円に下げる(媒体の見直し)、という順で進めます(数値は例)。詳しくは「人材紹介の成約率を上げる7施策」「人材紹介の手数料相場2026」「人材紹介のCPA削減7選」で取り上げています。
Q
CA1人あたりの決定単価を測る意味はありますか?
A
CA個人の決定単価は、CAの評価や育成の計画を立てるうえで役に立つ指標です。CA同士で決定単価が大きく違うとき、原因は面談化率・成約率・紹介手数料単価のどれかにあります。たとえば同じ集客費を割り当てられたCA-AとCA-Bで、決定単価がCA-A=30万円、CA-B=70万円と差がある場合、CA-Bは3つのうちどれかが大きく低いことになります。月次でCA別の決定単価を見える化し、改善の道筋をCAごとに立ててください。CA別の生産性管理は「キャリアアドバイザー生産性向上の5つの方法」で取り上げています。
Q
決定単価は職種・業界によって大きく変わりますが、どう経営判断するべきですか?
A
決定単価の金額だけでは業界をまたいで比べられないため、「決定単価÷紹介手数料単価」の比率(集客費用比率)で判断します。たとえば「ハイクラス:決定単価100万円・紹介手数料単価500万円→20%」「事務:決定単価35万円・紹介手数料単価80万円→約44%」なら、金額はハイクラスが約3倍でも、比率では事務のほうが重くなります(数値は例)。比率の上限は、人件費などの費用と目標の利益率から会社ごとに決めます(逆算式の章を参照)。上限を超えている事業から、5つの打ち手を優先して進めてください。
Q
決定単価を1か月で動かすことはできますか?
A
1か月で動かすのは難しいのが実情です。1か月では、成約率・紹介手数料単価・面談化率のいずれも、偶然の振れと区別できるほどの変化が出にくいためです。2〜3か月単位で面談化率の改善やCPAの低下が表れ始め、6か月単位で成約率や紹介手数料単価の改善も反映されてきます。決定単価は3か月の移動平均で追い、月ごとの振れに一喜一憂しないことをおすすめします。
Q
送客サービスの決定単価は本当にリスティングより安いのですか?
A
送客サービスが得意とする層(20代の若手・営業未経験・第二新卒など)では、決定単価がリスティング広告と同じか、それより低くなるケースがあります。一方、年収800万円を超えるハイクラスやIT・エンジニア領域では、リスティング広告やスカウト媒体のほうが決定単価で有利なこともあります。どちらが安いかは職種・年齢層・経験の有無で変わるため、同じ期間・同じ職種の面談で、チャネルごとの決定単価を自社のデータで比べてください。送客サービスの仕組みは「求職者送客サービスとは」、職種別の考え方は「業界別 人材紹介の集客戦略」、若手の未経験層の集め方は「20代・営業未経験層の集客戦略ガイド」で取り上げています。
Q
決定単価をCA・RAの月次レビューに組み込む際の注意点は?
A
「個人を責める」のではなく、「個人と組織で改善する」形で運用することが大切です。決定単価をCA別に出すと、成果の出ていないCAが落ち込んだり、成果の出ているCAが孤立したりしがちです。月次レビューではCA別のランキングを出すより、決定単価を構成する3要素(面談化率・成約率・紹介手数料単価)ごとに改善点を共有し、組織の知見として蓄えていきます。たとえば、決定単価の低いCAの面談録画(求職者の同意を得たもの)をチームで見る、決定単価の低いCAの面談の進め方を文書にする、紹介手数料単価を上げる求人開拓をチーム全体で進める、といった方法があります。月次レビューの設計は「人材紹介の月次レビュー会議テンプレ」で取り上げています。
費用対効果を見直したい会社様へ

CPAではなく、決定単価で集客投資を判断していますか?

現在の集客費・面談数・成約数をもとに、面談1件と成約1件あたりの費用をL reachが試算します。

相談前に整理できること

  • CPAではなく面談単価で判断
  • 決定単価まで逆算
  • 広告費との併用可否を確認

まとめ|CPAから決定単価へ|2026年の人材紹介経営判断軸

人材紹介の経営判断の軸は、CPAだけを見るやり方から、決定単価もあわせて見る方向へ移りつつあります。ポイントを振り返ります。

  1. 決定単価=成約1件あたりの獲得費用(CAC)。受け取る側の紹介手数料単価とは分けて考える
  2. 広告費ベースと総費用ベースの両方で計算し、業界別の目安と比べて自社の位置を確かめる
  3. CPA→面談単価→決定単価の逆算式で、目標から許容CPAを決める
  4. 5つの打ち手(年収レンジ/再面談率/同行同席/独占求人/ハイクラス移行)で決定単価を下げる
  5. CA・RAの月次レビューに決定単価を組み込み、個人と組織で改善する

あわせて「人材紹介の集客方法まとめ【2026】」「人材紹介の月次レビュー会議テンプレ」もご覧ください。

L

L reach編集部

人材紹介事業ナレッジ編集チーム

foresma株式会社が運営する求職者送客サービス『L reach』編集部。人材紹介会社の支援実績をもとに、集客・CV・運用ノウハウを発信しています。

集客の費用対効果は、面談単価と成約率、紹介手数料の組み合わせで大きく変わります。自社の数字で確かめたいときはご相談ください。

初期費用・月額費用なし/契約期間の縛りなし