人材紹介のKPI設定方法を、初めてKPI管理に取り組む方向けにまとめました。登録から面談、推薦、内定、成約までの流れを7つの指標で数字にすると、売上が伸びない原因がどの工程にあるかを特定できます。各指標の計算式(分子と分母)と目安、目標の決め方を、CA1名あたりの計算例つきで紹介します。CA別・RA別の詳しい20指標はKPIテンプレート完全版で一覧にしています。
人材紹介のKPIは、まず7つの指標(集客数=有効登録数・面談設定率・着座率・推薦数・書類通過率・内定率・内定承諾率)をファネル型でつないで管理します。面談から先の歩留まりは、成約率(成約数÷面談実施数)1つでもつかめます。編集部が相談を受ける中では「面談設定率」と「推薦数」で詰まっている会社が多く、この2つから見直すと売上につながりやすくなります。
人材紹介のKPI設定が不可欠な理由
ホワイトカラー職種の人材紹介市場は、2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増、矢野経済研究所)まで伸びました。一方、厚生労働省の令和6年度の集計(速報)では、事業報告を提出した有料職業紹介事業所が30,561あり、そのうち年度内に就職実績があったのは13,946でした(厚生労働省「令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」)。事業所の数が多いぶん、同じ広告費と人員からどれだけ成約を生めるかで、会社ごとの差が開きやすくなっています。
多くの人材紹介会社では「面談数」と「成約数」だけを追っていて、途中の工程がブラックボックスになりがちです。登録から成約までの各段階にKPIを置くと、どこで候補者が減っているのかが一目でわかるようになります。
KGI・KPI・KSFの違い(用語の整理)
| 用語 | 意味 | 人材紹介での例 |
|---|---|---|
| KGI | 最終目標 | 年間売上3,000万円 |
| KPI | 先行指標 | 月間面談数30件・成約率12% |
| KSF | 成功要因 | 登録後2時間以内の初回連絡の徹底 |
▶ この記事=まず測る7指標と目標の決め方/▶ CA別・RA別・事業共通の20指標と計算式はKPIテンプレート完全版/▶ 月次会議での運用とKPI悪化時の診断は月次レビュー会議テンプレ
人材紹介事業で設定すべき7つのKPI指標とその設定方法
7つの指標は、登録から成約までの流れに沿って並んでいます。先に、分子・分母と数え方をそろえておきます。同じ「面談率」でも、分母を登録数にするか予約数にするかで数字は大きく変わるためです。
| 指標 | 計算式(分子÷分母) | 数え方のルール |
|---|---|---|
| 1. 集客数(有効登録数) | 重複・対象外を除いた登録者数 | 同じ人の再登録は1人として数える |
| 2. 面談設定率 | 面談予約数÷有効登録数 | 日程を変えても予約は1件のまま |
| 3. 着座率(面談実施率) | 面談実施数÷面談予約数 | 当日キャンセル・無断欠席は実施に含めない |
| 4. 推薦数(推薦率) | 推薦した人数÷面談実施数 | 企業ごとの推薦件数は別の列に記録する |
| 5. 書類通過率 | 書類通過数÷推薦件数 | 選考結果が出ていない推薦は分母から外す |
| 6. 内定率 | 内定数÷書類通過数 | 書類通過後に面接へ進んだ件数を分母にする |
| 7. 内定承諾率 | 内定承諾数÷内定数 | 回答待ちの内定は分母から外す |
| 参考:成約率 | 成約数(内定承諾数)÷面談実施数 | 4〜7をまとめた、面談から先の歩留まり |
| 参考:面談化率 | 面談実施数÷有効登録数 | 登録から面談実施までの歩留まり(重複・連絡先の誤り・対象外を除いた有効登録が分母) |
成約を入社の時点で数える会社は、成約数を入社数に置き換えてください。社内で一度決めた定義は、途中で変えないことが大切です。
計測期間もそろえます。件数(登録・予約・面談・推薦・成約)は発生した月で数え、率は分子と分母を同じ期間の件数で計算します。推薦から内定・入社までは月をまたぐことが多く、1か月だけの率はぶれやすくなります。率を比べるときは直近3か月の合計で計算するか、同じ月に登録した人を成約まで追いかけて計算すると、傾向を読みやすくなります。
各指標の「目安」は、L reach編集部が支援・取材した会社で聞いた幅です。統計ではないため、自社の実績と比べる参考値としてご覧ください。
KPI 1: 集客数(有効登録数)
集客数(有効登録数)
スカウト媒体、自社サイト、送客サービスなどから登録した求職者のうち、重複や対象外を除いた人数。月間目標の起点になる、最も上流のKPIです。
目安: CA1名あたり月30〜50件
改善策: 集客チャネルの多様化、送客サービスの活用、SNS広告の導入
集客数が足りないと、下流のKPIをいくら改善しても売上は伸びません。自社集客だけで足りない場合は、求職者送客サービスとは?で紹介している送客サービスを併用する方法もあります。たとえばL reachは面談が実施されたときだけ費用がかかる着座課金型(1.5万〜3.5万円・税別)なので、送客分の費用は「面談実施数×単価」で見込めます。
KPI 2: 面談設定率
面談設定率
有効登録者のうち、面談の予約(日程の確定)まで進んだ割合。この数値が低い場合は、候補者の質か、日程調整の進め方に課題があります。
目安: 40〜60%
計算式: 面談予約数 ÷ 有効登録数 × 100 改善策: 登録後の初回連絡を早める(遅くとも24時間以内、できれば2時間以内)、LINE等のコミュニケーションツールの活用
KPI 3: 着座率(面談実施率)
着座率(面談実施率)
面談を予約した求職者のうち、実際に面談を実施できた割合。無断キャンセルや直前のキャンセルが多いと、この数値が下がります。
目安: 60〜80%(リマインドを徹底している会社では80〜90%)
計算式: 面談実施数 ÷ 面談予約数 × 100 改善策: 前日リマインドの徹底、オンライン面談の導入、面談前の事前情報提供
KPI 4: 推薦数(企業紹介数)
推薦数(企業紹介数)
面談を実施した求職者のうち、企業に推薦した人数。面談から推薦に進む割合(推薦率)が低い場合は、求職者と求人のマッチング精度に課題があります。
目安: 面談実施数の70〜80%
計算式: 推薦率=推薦した人数 ÷ 面談実施数 × 100 改善策: 求人データベースの充実、推薦基準の明確化、面談スキルの向上
1人を複数の企業に推薦した場合は、人数とは別に企業ごとの推薦件数を記録しておくと、次の書類通過率を正しく計算できます。紹介できる求人が少ないと推薦率は上がらないため、求人の母数も増やしていきます。求人開拓の方法は人材紹介の求人開拓方法5選で紹介しています。
KPI 5: 書類通過率
書類通過率
推薦した件数のうち、書類選考を通過した割合。この数値が低い場合は、推薦の質や推薦状の書き方に課題があります。
目安: 30〜50%
計算式: 書類通過数 ÷ 推薦件数 × 100 改善策: 推薦状の品質向上、企業ニーズの正確な把握、候補者の経歴書添削
KPI 6: 内定率
内定率
書類選考を通過して面接に進んだ件数のうち、内定が出た割合。面接対策の質が直接影響します。
目安: 20〜40%
計算式: 内定数 ÷ 書類通過数 × 100 改善策: 面接対策の充実、企業の選考基準の共有、候補者への適切なフィードバック
KPI 7: 内定承諾率
内定承諾率
内定が出た候補者のうち、実際に入社を承諾した割合。内定辞退が多い場合は、候補者のフォローに課題があります。
目安: 70〜85%
計算式: 内定承諾数 ÷ 内定数 × 100 改善策: 内定後のフォロー強化、入社意思確認の定期実施、候補者の懸念事項への対応
面談から先の結果をまとめて見るときは、成約率(成約数÷面談実施数)を使います。成約率が下がったら、KPI 4〜7のどこで落ちたかをさかのぼって確かめます。
人材紹介のKPI設定方法:ファネルの可視化と目標設定の具体例
KPIを設定するときは、各段階の数字をファネル型につなげて管理すると、どこがボトルネックかが見えてきます。KPIと売上の関係は人材紹介の売上シミュレーションでも詳しく扱っています。
以下は、CA1名あたりの月間KPI目標の計算例です。
| KPI指標 | 目標値 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 集客数(有効登録数) | 40件 | スカウト30件+送客サービス10件 |
| 面談予約数 | 20件 | 有効登録40件×面談設定率50% |
| 面談実施数 | 17件 | 面談予約20件×着座率85% |
| 推薦数 | 12.8件 | 面談実施17件×推薦率75% |
| 書類通過数 | 5.1件 | 推薦12.8件×書類通過率40% |
| 内定数 | 1.8件 | 書類通過5.1件×内定率35% |
| 成約数(内定承諾) | 1.4件 | 内定1.8件×内定承諾率80% |
計算例です。各段階は小数第1位で四捨五入し、表の数字から次の段階を計算しています。計算を簡単にするため、1人を1社に推薦し、月をまたぐ選考も1か月分として扱っています。
成約単価(紹介手数料単価)が100万円の場合、CA1名あたりの月間売上は約140万円(1.4件×100万円)、年間では約1,680万円です。このときの成約率(成約数÷面談実施数)は約8.2%(1.4件÷17件)になります。目標の売上から逆算するときは、必要な成約数を先に出し、内定承諾率・内定率とさかのぼって各段階の件数を決めます。
スプレッドシートで作るKPI管理表の列構成
小規模のうちは高機能なツールよりスプレッドシートで十分です。最小構成は「行=週、列=7指標+前週比」です。
→ 表は横にスクロールできます
| 週 | 集客数 | 設定率 | 着座率 | 推薦数 | 書類通過率 | 内定率 | 内定承諾率 | 前週比メモ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 12 | 55% | 80% | 18 | 33% | 28% | 65% | 設定率が改善 |
記入例の数字は架空です。推薦数は企業ごとの推薦件数で、前の週までに面談した人への推薦も含みます。
率は直接入力せず、登録数・予約数・面談実施数などの件数の列を持っておき、計算式で出すようにします。分母の取り違えに気づきやすくなり、後から定義を確かめるときにも役立ちます。
KPIのボトルネック別改善策
パターン1: 集客数が足りない場合
集客数が目標を下回る場合は、チャネルを増やすことから手をつけます。
- スカウト媒体の追加(ビズリーチ、リクルートダイレクトスカウト等)
- 求職者送客サービスの導入(着座課金型の多くは初期費用0円で始められる)
- 自社SNSアカウントでの情報発信
- 求職者向けLPの作成・広告運用
チャネルの選び方は、人材紹介の集客方法7選で比べています。
送客サービスを使う場合は、送客会社が求職者をどう集めているかも契約前に確認します。お祝い金などの名目で、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭等を渡して求職の申込みを勧めることは、職業紹介事業者については2021年4月から指針で禁止され、2025年1月からは許可の条件にも加わりました。募集情報等提供事業者も、2025年4月から金銭等の提供が原則禁止です。課金の方式だけで適法かどうかは決まりません。
パターン2: 面談設定率が低い場合
面談設定率が40%を下回る場合は、初回連絡のスピードと方法を見直します。
- 初回架電を登録から2時間以内に実施する(遅くとも24時間以内)
- 電話だけでなく、SMS・LINEでの連絡を併用する
- 面談のメリットを明確に伝えるトークスクリプトを作成する
予約は取れているのに面談の実施が少ない(着座率が低い)場合は、前日と当日のリマインド、面談で話す内容の事前案内、オンラインで参加できる選択肢の用意を見直します。具体策は面談設定率を上げる5つの実践テクニックで紹介しています。
パターン3: 成約率が低い場合
成約率(成約数÷面談実施数)は、売上に直結する指標です。成約率が下がったときは、推薦率・書類通過率・内定率・内定承諾率のどこで落ちているかを先に確かめます。推薦精度・マッチング精度の向上については、人材紹介のマッチング精度を上げる方法も参考にしてください。
内定承諾率が70%を下回る場合は、内定後の候補者フォローを強化します。
- 内定後48時間以内に候補者と面談する
- 入社への不安や懸念を丁寧にヒアリングする
- 入社日までの定期フォロー(週1回の連絡)を続ける
成約率を上げる具体的な施策は、人材紹介の成約率を上げる7施策で工程ごとに整理しています。
KPIが悪化したときの対処は、KPI悪化時の打ち手診断フロー付き・月次レビュー会議テンプレにまとめています。
L reach導入によるKPI改善事例
送客サービスを組み合わせると、ファネルのどこが動くのかを事例と計算例で整理します。
事例: 中規模紹介会社(CA10名体制)のKPI改善
L reach編集部が支援の中で聞いた事例を、会社が特定されないように整理したものです。CA10名体制のこの会社では、自社のスカウトにL reachの送客を組み合わせたことで、CA1名あたりの集客数と面談設定率が上がり、面談ベースの成約率も改善しました。結果は、職種・期間・ほかの施策との組み合わせによって変わります。
L reachでは、全候補者にオペレーターが15分のプレ面談を行い、転職意欲や希望条件を確かめたうえで、面談の日程まで調整して送客します。予約までの連絡や日程調整を自社で行う必要がないため、面談設定率が上がりやすくなります。プレ面談の内容を面談前にCAへ共有するので、初回面談から求人の提案に入りやすいのも特徴です。
送客経由の数字はチャネルを分けて記録する
送客経由の候補者は、登録と面談予約がほぼ同時に届きます。自社集客と合算して面談設定率を計算すると、送客の比率が増えただけで率が上がって見えるため、チャネル別に分けて記録します。
計算例として、自社集客の有効登録30件(面談設定率45%)に、予約済みで届く送客10件を加えた場合を考えます。全体の面談設定率は(13.5件+10件)÷40件で約59%になりますが、自社集客の設定率は45%のまま変わっていません。自社の連絡の改善を評価するときは、自社集客の分だけで率を見ます。
L reach(エルリーチ)は、面談が実施されたときだけ1.5万〜3.5万円(税別、職種・エリアで変動)がかかる着座課金型の送客サービスで、初期費用・月額費用は0円です。公表している着座率は85%以上、登録者の平均年齢は24.7歳(20代の比率95.7%)で、重複・要件不一致・無断キャンセルは課金されません。若手の求人を多く持つ紹介会社と相性のよいサービスです。
KPI指標の一覧比較表
→ 表は横にスクロールできます
| KPI指標 | 目的 | 計算式 | 改善のポイント |
|---|---|---|---|
| 集客数(有効登録数) | 集客力の測定 | 重複・対象外を除いた月間の登録数 | 集客チャネルの多様化 |
| 面談設定率 | 予約までの歩留まり | 面談予約数÷有効登録数 | 初回対応スピードの改善 |
| 着座率(面談実施率) | 当日の歩留まり | 面談実施数÷面談予約数 | リマインド運用 |
| 推薦数(推薦率) | マッチング活動量 | 推薦した人数÷面談実施数 | 求人理解度の向上 |
| 書類通過率 | 推薦精度の測定 | 書類通過数÷推薦件数 | 推薦状の質向上 |
| 内定率 | 面接対策の効果 | 内定数÷書類通過数 | 面接対策の充実 |
| 内定承諾率 | クロージング力 | 内定承諾数÷内定数 | 求職者フォローの強化 |
面談から先をまとめて見る成約率は、成約数(内定承諾数)÷面談実施数で計算します。
7指標に慣れてきたら、CA別・RA別・事業共通の指標を足していきます。求人開拓数や返戻金の比率まで含めた20指標の定義は、人材紹介KPIテンプレート完全版で一覧にしています。
人材紹介のKPI設定に関するよくある質問(FAQ)
KPI設定、面談数の入口チャネルまで紐付いていますか?
L reachは、CAの工数を増やさずに面談数を増やすための送客サービスです。業務改善と並行して使えます。
相談前に整理できること
- 面談数の入口を改善
- 対応工数を削減
- KPI改善に必要な母集団を補完
まとめ|KPIをファネル管理して人材紹介事業の売上を最大化しよう
人材紹介事業のKPI設定は、「集客→面談→推薦→内定→成約」の各段階を、同じ定義で数字にして管理するところから始まります。まずは7指標の分子・分母と計測期間をそろえ、成約率(成約数÷面談実施数)で面談から先の歩留まりをつかみます。
編集部が相談を受ける中では、集客数の安定化と面談設定率の向上で売上が動く会社が多くあります。自社集客だけでは面談数に限界がある場合は、着座課金型の送客サービスの活用も検討してみてください。関連記事の一覧はLINE・CRM活用で面談率・成約率を改善する運用ガイドにまとめています。
L reach編集部
人材紹介事業ナレッジ編集チームforesma株式会社が運営する求職者送客サービス『L reach』編集部。人材紹介会社の支援実績をもとに、集客・CV・運用ノウハウを発信しています。
業務フローを改善して歩留まりが上がっても、面談の母数が足りなければKPIの伸びはすぐに止まります。
初期費用・月額費用なし/契約期間の縛りなし



