開業・立ち上げ

人材紹介会社の開業手順|許可申請から集客までの7ステップ

公開日 更新日 15分
人材紹介会社の開業手順|許可申請から集客までの7ステップ

人材紹介会社を開業する手順を、事業計画・事業形態の決定・許可申請から集客開始までの7ステップにまとめました。資産・事務所・責任者の3つの許可要件、法人と個人事業の違い、開業費用の内訳、立ち上げ期の集客の進め方も扱います。ホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4,490億円(前年度比12.0%増、矢野経済研究所)まで伸びています。各ステップは、開業日から逆算するスケジュールとして使えます。

この記事の結論

開業は7ステップで進め、各ステップの完了条件がそろってから次へ移ります。申請から許可まではおおむね2〜3か月、講習や書類の準備を含めると3〜4か月かかるため、法人設立や物件探しから始めるなら半年前から逆算します。許可は法人でも個人事業でも受けられ、資本金ではなく基準資産(資産−負債−繰延資産・営業権)が500万円×事業所数以上あるかで判定されます。

人材紹介会社開業手順の7ステップ

1

事業計画を策定する

ターゲットとする求職者層(20代若手、ハイクラス、業界特化など)、求人開拓の方法、集客チャネル、収支計画を明確にします。特に「いつまでに月間何件の成約を目指すか」を具体的に決めます。所要期間は2〜4週間が目安です。つまずきやすいのは、集客費用を「売上が立ってから」と後回しにする計画です(集客費は初月から必要)。書き方は【テンプレート付】人材紹介の事業計画書で解説しています。

完了条件

  • 対象の職種・地域と、求人の取り方が決まっている
  • 3年分の収支計画と、初回入金までの資金繰り表がある
  • 初月からの集客費が計画に入っている
2

事業形態を決める(法人を設立するか、個人事業で申請するか)

法人(株式会社・合同会社)でも個人事業でも、有料職業紹介事業の許可は受けられます。取引先の信用や採用、将来の拡大を考えるなら法人、費用を抑えて小さく始めるなら個人事業、というのが一般的な分かれ目です。個人事業で許可を受けた後に法人化すると、法人として新規の許可申請が必要になります。

資本金と許可の基準資産は別物です。基準資産は資産から負債・繰延資産・営業権を引いた額で、設立したばかりの法人は設立時の貸借対照表で判定されます。資本金を500万円ちょうどにすると、繰延資産に計上した創立費などが除かれて下回ることがあるため、余裕を持たせて設定します。個人の場合は、青色申告の貸借対照表や預金残高証明書などで資産を示します。

完了条件

  • 法人なら登記、個人事業なら税務署への開業届などが済んでいる
  • 申請時点で基準資産500万円×事業所数以上・現預金150万円以上(1事業所の場合)を書類で示せる
  • 将来法人化する予定があるなら、許可の取り直しも計画に入っている
3

事務所を準備する

事務所は、位置・構造・設備などから職業紹介を行うのに適切かを確認されます。原則は、個室やパーティションでプライバシーを守って求職者・求人者に対応できる構造です。予約制で他の利用者と同室にならない運営や、対面を伴わないオンライン中心の運営で認められる方法もあります。住所だけを借りるバーチャルオフィスは、こうした確認を通りにくいため、契約前に管轄の労働局へ相談します。

完了条件

  • 賃貸借契約書など、事務所を使える権限を示す書類がある
  • 面談でプライバシーを守る方法が決まっている
  • 個人情報の書類を施錠して保管できる
4

職業紹介責任者講習を受講する

事業所ごとに、専属の職業紹介責任者を置きます(職業紹介に従事する人50人につき1人以上)。責任者は、成年に達した後3年以上の職業経験があり、申請の受理日前5年以内に職業紹介責任者講習を修了した人です。講習は1日で、受講料は実施団体によって異なります(令和8年度の一般料金は税込8,800〜14,000円)。申請の前に受講が必要なため、日程は早めに押さえておきます。

完了条件

  • 責任者が決まり、講習の受講証明書が手元にある
  • 責任者が事業所に専属で勤務できる体制になっている
5

許可申請書類を準備・提出する

管轄の都道府県労働局を経由して、厚生労働大臣に申請します。主な書類は、許可申請書・事業計画書、資産に関する書類(貸借対照表・預金残高証明書など)、代表者や責任者の住民票・履歴書、講習の受講証明書、個人情報適正管理規程と業務の運営に関する規程、事務所の賃貸借契約書などです。書類の準備には2〜4週間を見込みます。つまずきやすいのは、資産要件の証明書類の不備による差し戻しです。全書類の一覧は有料職業紹介事業の許可要件を参照してください。

完了条件

  • 書類一式がそろい、労働局への事前相談で不足がないか確認した
  • 収入印紙5万円と、登録免許税9万円の領収証書を用意した(1事業所の場合)
  • 事業開始予定日のおおむね2〜3か月前までに提出した
6

許可を取得する(申請からおおむね2〜3か月)

申請を受けた労働局が、書類や実地調査などで許可要件を確認し、厚生労働省が労働政策審議会の意見を聞いたうえで許可を決めます。申請から許可までは、おおむね2〜3か月です。書類の不備や申請の時期によっては、3か月を超えることもあります。許可の有効期間は新規3年、更新後5年です。無許可での職業紹介は職業安定法違反(罰則あり)となるため、許可が出るまで職業紹介は始められません。

完了条件

  • 許可証を受け取り、許可番号を確認した
  • 許可証を事業所内の掲示やウェブサイトなどで公開する準備ができている
7

求人開拓と集客を開始する

許可取得後、速やかに求人開拓と求職者の集客を始めます。最初の目標は「初月の面談10件」です。つまずきやすいのは、自力集客の立ち上がりを待つあいだに初月〜3か月を空費してしまうケースです。立ち上げ期の集客戦略は後述します。

完了条件

  • 求人企業と、手数料・返金規定を含む契約を結んだ
  • 取扱職種の範囲・手数料・苦情処理・個人情報の取扱い・返戻金制度を、求人者と求職者に明示する書面を用意した
  • 面談から推薦・請求までの担当と記録方法が決まっている

開業までの逆算スケジュール(6ヶ月前〜開業日)

時期 やること 目安
−6か月 事業計画の策定・資金確保(基準資産500万円×事業所数+運転資金) 計画書完成
−5か月 法人設立(個人事業なら開業届など)・事務所契約 登記完了
−4か月 職業紹介責任者講習の受講・申請書類の準備 書類一式完成
−3〜−1か月 許可申請→労働局の確認・審査(おおむね2〜3か月)・集客準備(送客サービスの条件確認・LP) 許可取得
0か月 営業開始(求人開拓+面談開始) 初月面談10件

このうち、申請から許可までの期間は、厚生労働省の案内でおおむね2〜3か月です。不備や時期によって延びることもあります。それより前の講習の受講や書類の準備、物件探しは開業者側の準備期間です。講習と書類準備だけでも1か月ほど見込むと、準備を含めて3〜4か月の計画になります。法人設立や物件探しから始めるなら、上の表のように半年前から動きます。

許可取得の3つの要件

要件1: 資産要件

項目 基準(1事業所の場合) 事業所が複数の場合
基準資産額(資産−負債−繰延資産・営業権) 500万円以上 500万円×事業所数
自己名義の現金・預貯金 150万円以上 150万円+60万円×(事業所数−1)

出典:厚生労働省の許可申請資料。現預金は基準資産に含まれる資産の一部で、500万円とは別枠ではありません。

基準資産は資本金と同じではありません。決算書の資産から負債を引き、繰延資産(創立費・開業費など)と営業権(のれん)を除いた額で判定されます。確認されるのは新規の申請時と更新の申請時で、供託や口座の凍結はなく、許可後は事業資金として使えます。更新時は、基準資産350万円×事業所数が条件です。

注意

融資を受けて現預金が増えても、同じ額の負債も増えるため、基準資産額は増えません。基準資産は自己資金(法人なら資本金など)や出資で満たします。

要件2: 事務所要件

  • 職業紹介を行うのに適切な位置・構造・設備の事業所(住所だけのバーチャルオフィスは事前に労働局へ相談)
  • 面談スペースとして、個室またはパーティションで区切られた空間
  • 予約制などで、他の求職者・求人者と同室にならないプライバシー保護の措置(上の構造に代わる方法)
  • 個人情報保護のための鍵付き書庫

広さ(おおむね20㎡以上)は、個室などの構造に代えて当分の間認められている方法のひとつで、必須の条件ではありません。

要件3: 職業紹介責任者

  • 事業所ごとに専属で配置(職業紹介に従事する人50人につき1人以上)
  • 成年に達した後3年以上の職業経験(人材業界でなくても可)
  • 申請の受理日前5年以内に職業紹介責任者講習を修了

許可要件の詳細は有料職業紹介事業の許可要件ガイドで解説しています。

出典: 厚生労働省「職業紹介事業について」許可申請や事業運営の法的根拠は、厚生労働省の職業紹介事業のページ職業紹介事業の業務運営要領で確認できます。

開業にかかる費用

費用の全体像は人材紹介の起業費用の内訳で詳しく解説していますが、概要は以下の通りです。

費用項目 金額目安
登録免許税 9万円
収入印紙 5万円(1事業所)
職業紹介責任者講習 約1万円
法人設立費用(株式会社) 25万円
事務所初期費用(敷金・礼金等) 50200万円
合計(最低限) 90万円

支出ベースの目安です。登録免許税と収入印紙は法定、ほかは編集部が取材で聞いた金額です。

基準資産500万円は、支払う費用ではなく、申請時点で満たす純資産の条件です。上の支出を払ったうえで基準資産を満たす必要があるため、申請時点で用意したい自己資金は約600万円〜が目安になります。運転資金まで含めた考え方は、起業費用の記事で詳しく扱っています。

出典: 厚生労働省 有料職業紹介事業許可基準

有料職業紹介事業の許可申請には、登録免許税9万円と収入印紙5万円(1事業所の場合)の合計14万円が必要です。事業所が2つ以上の場合は、収入印紙が1事業所につき1.8万円ずつ加わります(登録免許税は9万円のまま)。

出典: 国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」開業届や法人設立届出書など、税務の手続きは国税庁の案内ページで確認できます。
出典: 日本社会保険労務士会連合会社労士への許可申請代行の依頼は、日本社会保険労務士会連合会で業務範囲や相談先を確認できます。

立ち上げ期の集客戦略

許可を取得して開業しても、集客の仕組みがなければ面談はゼロのままです。立ち上げ期は、最初の面談をどれだけ早く獲得できるかで、その後の資金繰りが変わります。具体的な手法は人材紹介会社の集客方法7選でも紹介しています。

即効性のある集客手段

  1. 求職者送客サービス(求職者送客サービスとは?)の活用 — 初期費用ゼロ・成果報酬型で、開業直後から面談につなげやすい手段
  2. 求人データベースの活用 — Bee・Zキャリア プラットフォームなどの求人DBで求人案件を確保
  3. SNS広告 — 少額から始められ、20代若手層へのリーチが可能

「開業直後は知名度ゼロで自力集客は困難。送客サービスを導入して2週間で月20件の面談を獲得でき、事業の立ち上がりが加速しました。」

L reach編集部が支援の中で聞いた声を匿名化したものです。面談数は職種・エリア・受け入れ枠によって変わります。

本業を続けながら副業として始める方法は、人材紹介を副業で始める方法にまとめています。

送客サービスの例として、L reachは着座課金1.5万〜3.5万円(税別)・初期費用と月額費用0円で、登録者の平均年齢は24.7歳(20代比率95.7%)です。全件にオペレーターが15分のプレ面談を行い、日程調整まで対応します。なお、お祝い金など社会通念上相当な程度を超える金銭等で求職の申込みを勧めることは、2021年4月から指針で、2025年1月からは許可の条件でも禁止されています。集客の設計には組み込まないようにします。

開業直後90日の集客プラン:

期間 施策 目標
Day 1〜30 送客サービス導入(面談の下限確保) 10件の面談
Day 3160 SNS広告の小規模テスト開始 追加月5件
Day 6190 リファラル制度の設計・依頼開始 紹介経由の初面談

日ごとの進め方は開業30日チェックリストで紹介しています。

中長期的な集客基盤の構築

立ち上げ期は送客サービスで面談数を確保しつつ、並行して次の中長期施策にも着手します。

  • オウンドメディア・SEO — 6か月〜1年後に安定流入が見込める
  • リファラルプログラム — コストをかけずに続けられる紹介制度
  • スカウト媒体 — 軌道に乗ったら段階的に導入

開業形態の比較

→ 表は横にスクロールできます

項目 個人事業主 法人(株式会社) 法人(合同会社)
設立費用 0円 25万円 10万円
社会的信用 低い 高い 中程度
税制メリット 所得が低いうち有利 所得が高いと有利 所得が高いと有利
許可取得 可能 可能 可能
資産の示し方 青色申告の貸借対照表・預金残高証明書など 直近の決算書(設立直後は設立時の貸借対照表) 直近の決算書(設立直後は設立時の貸借対照表)
手続きの簡便さ 簡単 やや複雑 比較的簡単
あとで形態を変える場合 法人化すると新規の許可申請が必要

資産の要件(基準資産500万円×事業所数・現預金150万円〜)は、どの形態でも同じです。一人で開業する場合の戦略は人材紹介の独立・一人開業で解説しています。

人材紹介会社の開業に関するよくある質問(FAQ)

Q
個人事業主でも人材紹介業を開業できますか?
A
はい、個人事業主でも有料職業紹介事業の許可を受けて開業できます。資産の要件(基準資産額500万円以上・現預金150万円以上)は法人と同じで、青色申告の貸借対照表や預金残高証明書などで示します。法人より社会的信用で不利になりやすい点と、許可を受けた後に法人化すると新規の許可申請が必要になる点に注意します。
Q
許可が下りるまでどのくらいかかりますか?
A
厚生労働省の案内では、申請から許可までおおむね2〜3か月です。書類の不備や申請の時期によっては、3か月を超えることもあります。講習の受講や書類の準備を含めると3〜4か月の計画にしておくと安心です。事前に労働局へ相談しておくと、申請準備の漏れを防げます。
Q
自己資金は最低いくら必要ですか?
A
許可の条件は、申請時点で基準資産額500万円以上(うち現預金150万円以上、1事業所の場合)を満たすことです。これは支払う費用ではなく、許可後は事業資金として使えます。許可前に払う費用(約90万円〜)を含めた最低ラインは約600万円で、初回入金までの運転資金に余裕を持たせるなら、さらに上乗せして計画します。
Q
バーチャルオフィスでも開業できますか?
A
事業所は、位置・構造・設備などから職業紹介を行うのに適切かを、書類や実地調査などで確認されます。住所だけを借りるバーチャルオフィスでは、この要件を満たすのは難しいと考えておくのが無難です。レンタルオフィスやシェアオフィスの個室を使う場合は、プライバシーを守れる構造や使用の権限があるかを、契約前に管轄の労働局へ確認します。
Q
開業1年目の年収はどのくらい見込めますか?
A
1年目は、申請から許可までにおおむね2〜3か月かかり、面談から入社・入金までにも時間差があるため、売上が立つ月は限られます。売上から集客費・家賃などの経費を引いた残りが本人の所得(法人なら役員報酬の原資)で、年収は領域・単価・成約数によって大きく変わります。領域ごとの目安は業界別の独立年収レンジ比較2026、会社員との違いは人材紹介の年収は稼げる?で紹介しています。
Q
開業でよくある失敗は?
A
L reach編集部が取材で聞く範囲では、最も多いのは集客設計の甘さで、人脈頼み・運転資金不足・許可申請の遅れが続きます。人材紹介の独立失敗パターン10選と回避策で事前にチェックしてください。
開業・立ち上げフェーズの会社様へ

開業手順の次は、初月の面談数を取りに行く設計です。

L reachは初期費用・月額費用0円の着座課金型です。開業直後の面談獲得を、面談が実施された分の費用だけで支援します。

相談前に整理できること

  • 初月の面談獲得ルート設計
  • 固定費を抑えた導入
  • 開業後の集客不足を補完

まとめ|開業手順7ステップは逆算スケジュールで動かす

人材紹介会社の開業手順は、事業計画→事業形態の決定(法人設立または個人事業)→事務所準備→講習受講→許可申請→許可取得→集客開始の7ステップです。

  • 許可要件 — 申請時点の基準資産500万円×事業所数・現預金150万円〜、プライバシーを守れる事業所、職業紹介責任者(有料職業紹介事業の許可要件まとめ
  • 開業費用 — 支出は約90万円〜。基準資産と合わせた自己資金の目安は約600万円〜(人材紹介の起業費用の内訳
  • 許可取得期間 — 申請からおおむね2〜3か月(講習・書類の準備を含めると3〜4か月)
  • 立ち上げ期の集客 — 送客サービスなど、早く面談につながる施策から
  • 法人の新規事業として参入する場合の逆算スケジュールは人材紹介の参入スケジュールにまとめています

関連記事の一覧は人材紹介の開業・立ち上げガイドにあります。

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L reach編集部

人材紹介事業ナレッジ編集チーム

foresma株式会社が運営する求職者送客サービス『L reach』編集部。人材紹介会社の支援実績をもとに、集客・CV・運用ノウハウを発信しています。

開業初月から面談を確保するには、求人の整備と並行して、求職者と出会う入口を先に用意しておく必要があります。

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